住宅ローンは変動と固定のどちらがおすすめ?2026年の金利動向
住宅ローンは借入額が大きく返済期間も長いため、金利タイプの選び方によって毎月の返済額や総返済額に大きな差が生じることがあります。さらに、近年は住宅ローン金利に上昇の動きが見られ、固定金利と変動金利のどちらを選ぶべきか悩む人も少なくありません。将来の金利変動や家計への影響を考えると、特徴をよく理解した上で選ぶことが大切です。
当記事では、2026年の金利動向を踏まえ、それぞれに向いている人の特徴や選び方、返済負担を抑える方法を解説します。
目次
1.住宅ローンは固定金利と変動金利のどちらがよい?
住宅ローンの金利タイプは、固定金利と変動金利のどちらがよいと一概には言えません。返済期間や借入額、家計の状況、金利上昇への備えなどによって、向いているタイプが変わるためです。
近年の動きとして、日本銀行が2024年にマイナス金利政策を解除して以降、金利は利上げ局面に入りました。住宅金融支援機構の「住宅ローン利用予定者調査(2025年4月調査)」でも、前回調査と比べて、全期間固定型を希望する人の割合が高まっています。将来の金利上昇に備え、返済額を確定させたいと考える人にとって、全期間固定型は選択肢の1つになります。
低金利を背景に変動金利を選ぶ人は今も多いものの、金利のある時代を見据えて固定金利に目を向ける人も増えています。また、固定金利型のローンは、将来の物価上昇率や経済成長などが金利に反映されやすく、変動金利型に先行して上昇する傾向があります。2026年にかけての金利の推移や上昇リスクを踏まえ、自分に合ったタイプを見極めていきましょう。
1-1.【2026年版】住宅ローンの金利の推移
住宅ローン金利は、長期間にわたって低い水準で推移してきましたが、近年は固定金利・変動金利ともに上昇の動きが見られます。特に全期間固定金利型は長期金利の影響を受けやすく、市場金利の変化が比較的早く反映される点が特徴です。まずは、住宅金融支援機構が公表する【フラット35】の金利推移を見てみましょう。
図からも分かるように、【フラット35】の金利は一定ではなく、経済情勢や長期金利の動きに応じて変化しています。近年は長期金利の上昇を背景に、固定金利型の住宅ローンでも金利水準が上がる傾向が見られます。一方、変動金利型についても、一部の金融機関で基準金利や適用金利を引き上げる動きが広がっています。
金利が上昇すると、同じ金額を借りても毎月の返済額や総返済額が増える可能性があります。特に借入額が大きい場合や返済期間が長い場合は、わずかな金利差でも総返済額に大きな差が生じることがあります。今後の金利は経済情勢や金融政策によって変動するため、現在の水準だけで判断せず、返済途中で金利が上昇した場合の負担も想定しておくことが大切です。固定金利と変動金利の特徴を比較し、家計に合った返済計画を立てましょう。
2.固定金利が向いている人の特徴
固定金利が向いているのは、毎月の返済額を安定させたい人や、将来の金利上昇を避けたい人です。ここでは、固定金利が向いている人の特徴を4つ紹介します。
2-1.家計の収支を安定させたい人
毎月の住宅費を一定に保ち、将来の家計を見通しやすくしたい人には、固定金利が適しています。全期間固定金利型は、借入時に返済終了までの適用金利と返済額が確定するため、市場金利が上昇しても毎月の返済額は変わりません。住宅費が固定されれば、食費や教育費、貯蓄などに回せる金額も把握しやすくなり、長期的な家計管理がしやすくなります。
特に、毎月の支出をできるだけ一定に保ちたい人や、将来の返済額が変わることに不安を感じる人に適した選択肢です。ただし、一般的に変動金利より当初金利が高い点は確認しておきましょう。
2-2.金利上昇のリスクを避けて安心を優先したい人
将来の返済額が増える不安を抑えたい人には、固定金利が適しています。借入時に適用金利と返済額が確定するため、市場金利が上昇しても、返済額が増える心配はありません。特に、金利の動きをこまめに確認するのが難しい人や、返済額の変化に不安を感じやすい人に向いています。
一方で、固定金利は一般的に変動金利より当初の金利が高めに設定される傾向があります。金利が上がらなかった場合は、結果として変動金利より総返済額が多くなることもあるため、安心感と金利負担のバランスを考えて選びましょう。
2-3.借入額が大きく返済期間が長い人
借入額が大きく、長期間にわたって返済を続ける場合は、金利上昇による影響も大きくなりやすいため、固定金利が選択肢になります。全期間固定金利型なら、借入時に返済終了までの適用金利と返済額が確定し、将来市場金利が上昇しても毎月の返済額は変わりません。
特に、数千万円単位の借入れを予定している人や、30年・35年など長期で返済する人は、わずかな金利差でも総返済額に大きく影響する可能性があります。将来の金利変動に左右されず、長期的な資金計画を立てたい場合は、固定金利の安心感が大きなメリットになります。家計管理の見通しも立てやすくなるでしょう。
2-4.教育費など将来の支出増が見込まれる人
子どもの進学や独立、車の買い替えなど、将来まとまった支出が予定されている家庭では、住宅ローンの返済額を固定できることが安心につながります。全期間固定金利型なら、市場金利が上昇しても毎月の返済額が変わらないため、教育費などに必要な資金を計画的に準備しやすくなります。
特に、子どもが複数いる家庭や、大学進学などで将来の支出増が見込まれる場合は、住宅費まで増えると家計への負担が大きくなる可能性があります。あらかじめ住宅ローンの返済額を確定させておけば、今後必要になる教育費や生活費とのバランスを考えやすく、長期的な資金計画も立てやすくなるでしょう。
3.変動金利が向いている人の特徴
変動金利は、当初の返済負担を抑えたい人や、将来の金利上昇にも対応できる人に向いています。ここでは、変動金利が向いている人の特徴を4つ紹介します。
3-1.当初の返済負担をできるだけ抑えたい人
借入当初の毎月返済額をできるだけ抑えたい人には、変動金利が向いています。一般的に変動金利は固定金利よりも当初の適用金利が低く設定される傾向があり、返済開始時の負担を軽くしやすい点が特徴です。住宅購入直後は引っ越し代や家具・家電の購入費などが重なりやすいため、当面の住宅ローン返済額を抑えたい場合にも選択肢になります。
その分、生活費や急な出費に備えやすくなるほか、貯蓄を続けやすい点もメリットです。住宅購入後しばらくは支出が増えることを見込み、当初の家計負担をできるだけ軽くしたい人に適した選択肢と言えるでしょう。
3-2.金利が上がっても返済額の増加に対応できる人
収入や貯蓄に余裕があり、将来金利が上昇して返済額が増えても対応できる人には、変動金利が向いています。変動金利は適用金利が定期的に見直されるため、市場金利が上昇すると毎月の返済額や総返済額が増える可能性があります。そのため、毎月の収支に余裕がある人や、十分な貯蓄を確保している人ほど、金利上昇による負担増にも対応しやすいでしょう。
また、今後の昇給や収入増が見込める人にも選択肢となります。現在の返済額だけでなく、金利が上昇した場合の返済額も事前に試算し、生活費や教育費などを圧迫せずに返済を続けられるか確認しておきましょう。
3-3.借入額が少なく短期間で返済できる人
借入額が少なく、短期間で返済できる見込みがある人にも、変動金利は向いています。借入残高が小さければ、金利が上昇した場合でも利息負担への影響を抑えやすく、返済期間が短いほど金利変動の影響を受ける期間も短くなります。
また、自己資金を多く用意できる人や、数年から10年程度で完済を目指せる人は、変動金利の低い当初金利を活用しやすいでしょう。特に、まとまった頭金を入れて借入額を抑えられる場合は、毎月の返済負担だけでなく、支払う利息の総額も小さくしやすくなります。借入額と返済期間の両方を抑えられる人ほど、変動金利のメリットを生かしやすいと言えます。
3-4.繰り上げ返済を計画的に進められる人
繰り上げ返済に回せる資金を計画的に確保できる人にも、変動金利は向いています。繰り上げ返済によって元金を早めに減らせば、その後に支払う利息を抑えやすくなり、金利上昇による影響の軽減にもつながります。
特に、ボーナスや余剰資金を定期的に返済へ充てられる人は、変動金利の低い当初金利を活用しながら、返済期間の短縮や総返済額の削減を目指せます。ただし、繰り上げ返済を優先しすぎると、急な出費や教育費などに充てる手元資金が不足するおそれがあります。生活費や緊急時の予備資金を十分に残し、無理のない範囲で返済を進めましょう。
4.固定金利と変動金利を迷ったときに選ぶポイント
固定金利と変動金利で迷ったときは、返済期間や借入額、金利上昇時の負担、家計の余裕などから判断しましょう。ここでは、選ぶ際に確認したい4つのポイントを解説します。
4-1.返済期間と借入額から考える
固定金利と変動金利で迷ったときは、返済期間と借入額の組み合わせから考えましょう。一般的に、返済期間が短く借入額が少ないほど、金利が上昇した場合でも返済額への影響を抑えやすく、変動金利の低い当初金利を生かしやすくなります。反対に、返済期間が長く借入額も大きい場合は、わずかな金利上昇でも毎月の返済額や総返済額への影響が大きくなる可能性があります。
特に、頭金を入れず物件価格の大部分を借りるケースや、30年・35年を超える長期返済を予定している場合は、将来の金利変動による負担増を慎重に考える必要があります。返済額の安定性を重視するなら固定金利、短期返済や少額借入で金利上昇に対応しやすいなら変動金利も選択肢になります。
4-2.金利が上昇したときの返済額をシミュレーションする
金利タイプを選ぶ際は、将来金利が上昇した場合に返済額がどの程度増えるのかを事前にシミュレーションしておきましょう。たとえば、3,000万円を35年間、元利均等返済・ボーナス返済なしで借りる場合、金利が年0.5%から年1.5%へ上昇すると、返済額は以下のように変化します。
| 金利 | 毎月の返済額 | 金利0.5%との差額 |
|---|---|---|
| 年0.5% | 約7万8,000円 | ― |
| 年1.5% | 約9万2,000円 | 約1万4,000円増 |
変動金利を選ぶ場合は、この増加分を家計から無理なく負担できるかを確認することが大切です。現在の返済額だけで判断せず、1%、2%と金利が上昇した複数のケースを試算し、生活費や教育費、貯蓄への影響まで確認した上で、自分に合う金利タイプを選びましょう。
4-3.家計に返済額の増加へ備える余裕があるかを確認する
金利タイプを選ぶ際は、現在の収入だけでなく、将来返済額が増えた場合にも家計が対応できるかを確認しましょう。収入が安定しており、毎月の収支や貯蓄に十分な余裕があるなら、金利上昇による返済額の増加にも備えやすく、変動金利を選びやすくなります。
一方、収入に波がある人や、教育費・車の購入費など今後まとまった支出を予定している家庭では、返済額が増えると家計を圧迫するおそれがあります。このような場合は、毎月の返済額が一定の固定金利を選ぶと、将来の収支を見通しやすくなります。生活防衛資金を残せるかどうかも確認し、現在の余裕だけでなく、数年後の収入や支出の変化まで見込んだ上で、自分の家計に合う金利タイプを選びましょう。
4-4.ミックス金利という選択肢も検討する
固定金利か変動金利かを1つに決めきれない場合は、両方を組み合わせる「ミックス金利」も選択肢になります。借入額の一部を変動金利、残りを固定金利にすることで、低い当初金利のメリットを生かしながら、金利上昇による負担増を一部抑えられる点が特徴です。
たとえば、借入額の半分ずつに分ければ、すべてを変動金利にした場合より金利上昇の影響を小さくできます。固定金利と変動金利の比率は、家計の余裕やリスクへの考え方に応じて検討するとよいでしょう。また、住宅ローンは返済途中に借り換えて金利タイプを変更できる場合もあります。どちらか一方に絞るのが難しいときは、ミックス金利や将来の借り換えも含めて考えましょう。
5.住宅ローンの金利や返済額を抑える方法
住宅ローンの金利や返済額を抑えたい場合は、借入額を減らす方法や返済方法の見直し、制度の活用などが有効です。ここでは、負担軽減につながる4つの方法を紹介します。
5-1.頭金を増やして借入額を抑える
頭金を増やして借入額を抑えると、毎月の返済額だけでなく、返済期間中に支払う利息の総額も減らしやすくなります。借入額が小さくなるほど、同じ金利・返済期間でも毎月の返済負担は軽くなるため、家計にも余裕を持たせやすくなります。返済開始後の負担を抑えたい人にとって、頭金を増やすことは有効な方法の1つです。
また、金融機関によっては、物件価格に対する借入割合が低いほど有利な金利が適用される場合もあります。一方で、頭金を入れすぎると、引っ越し費用や家具・家電の購入、急な出費に備える手元資金が不足するおそれがあります。生活費や将来必要になる資金を十分に残した上で頭金を用意し、借入額とのバランスを考えることが大切です。
5-2.繰り上げ返済で利息を減らす
繰り上げ返済は、毎月の返済とは別に住宅ローンの元金を前倒しで返済し、将来支払う利息を減らす方法です。繰り上げ返済した金額は元金に充てられるため、その後に発生する利息を抑えられます。方法には、毎月の返済額を変えず返済期間を短くする「期間短縮型」と、返済期間を変えず毎月の返済額を減らす「返済額軽減型」があります。
一般的に、利息の削減効果を重視するなら期間短縮型、毎月の負担を軽くしたいなら返済額軽減型が向いています。ただし、繰り上げ返済に資金を回しすぎると、急な出費や教育費などに対応しにくくなります。生活防衛資金を十分に残し、手数料や利用条件も確認した上で、無理のない範囲で計画的に進めましょう。
5-3.より低い金利のローンへ借り換える
現在の住宅ローンより金利の低いローンへ借り換えることで、毎月の返済額や総返済額を減らせる場合があります。借り換えとは、現在の住宅ローンを一括返済し、新たな金融機関などでローンを組み直す方法です。特に、現在と借り換え後の金利差が大きい場合や、ローン残高・残りの返済期間が十分にある場合は、負担軽減につながりやすくなります。
ただし、借り換えには事務手数料や保証料、登記関連費用などがかかるほか、再審査や団体信用生命保険への加入が必要になることもあります。条件によっては、諸費用が大きくなり、期待したほど節約できないケースもあります。金利だけで判断せず、諸費用を含めた総返済額を比較し、本当に負担が減るかを事前にシミュレーションした上で検討しましょう。
5-4.住宅ローン控除を活用して実質的な負担を抑える
住宅ローン控除を利用すると、一定の要件を満たした場合に、年末時点の住宅ローン残高などを基に計算した金額が所得税から控除され、実質的な負担を抑えられます。2026年以降も制度は延長されており、控除率は0.7%です。所得税から控除しきれない場合は、一定額まで翌年度の住民税から控除されることもあります。金利そのものや毎月の返済額を直接下げる制度ではありませんが、税負担が軽くなる分、家計全体の負担軽減につながります。
ただし、控除を受けられる期間や借入限度額は、入居年や住宅の性能、新築・中古の別などによって異なります。また、繰り上げ返済で返済期間が短くなると、要件を満たさなくなる場合もあります。適用条件を確認し、借入額や返済方法とあわせて活用を検討しましょう。
まとめ
住宅ローンは、固定金利と変動金利のどちらが優れているとは一概に言えず、返済期間や借入額、家計の余裕、将来の支出予定などを踏まえて選ぶことが大切です。固定金利は返済額を安定させやすく、変動金利は当初の返済負担を抑えやすい特徴があります。金利上昇時の返済額もシミュレーションし、無理なく返済を続けられるか確認しましょう。また、頭金や繰り上げ返済、借り換え、住宅ローン控除なども活用し、総合的に負担を抑える方法を検討することが重要です。
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