
建売住宅の売れ残りを買うメリット・デメリット|売れ残る理由も解説
建売住宅は、すでに完成した物件を見て購入を検討できるため、住まい選びにおいて安心して購入できる選択肢です。しかし、すべての建売住宅が順調に売れるとは限らず、長期間売れ残ってしまうケースも少なくありません。
購入を検討する立場からすると、「なぜこの物件は売れていないのか」という疑問や不安を感じる場面もあるでしょう。売れ残りには価格、立地、周辺環境、設計など、複数の要因が関係しており、背景を正しく理解することでお得に住宅を購入できる可能性もあります。
当記事では、建売住宅が売れ残る主な理由や、あえて売れ残り物件を選ぶメリット、注意点について詳しく解説します。物件選びの判断材料を増やしたい方や、少しでも条件の良い住まいを見つけたいと考える方は、ぜひ参考にしてください。
目次
1.建売住宅が売れ残る理由とは
建売住宅は販売前に建築されるため、購入者にとっては完成済みの物件を確認できるという利点があります。
しかし、すべての建売住宅がスムーズに売れるとは限らず、一部の物件は長期間売れ残ることもあります。売れ残りの背景には、価格設定や立地条件、建物自体の魅力など、さまざまな要因が関係します。
以下では、建売住宅が売れ残る主な理由について解説します。
1-1.分譲価格が高い
売れ残る建売住宅の要因の1つに、周辺相場と比べて分譲価格が高すぎる点が挙げられます。
エリアの市場価格を上回る価格が設定されている場合、たとえ立地や間取りに魅力があっても購入を見送られる可能性があります。また、資材費や人件費の高騰によって全体的な販売価格が上昇しており、購入者の予算に見合わない価格帯になっているケースも見受けられます。
購入希望者の多くは複数の物件を比較して検討するため、価格に対する見合った価値が感じられなければ選ばず、売れ残ってしまいます。
1-2.供給過剰になっている
地域によっては建売住宅の供給が需要を上回り、物件が余る状態が発生します。
特に都市近郊や新興住宅地では、一斉に複数の建売住宅が建てられやすく、周辺に同様の仕様・価格帯の物件が並ぶことで競争が激化します。建売住宅が供給過多になっているエリアでは、多少の差では購入者の関心を集めにくくなり、結果として売れ残りが発生しやすくなります。
1-3.何らかのマイナスポイントがある
外観や価格が平均的であっても、個別の物件にマイナスポイントがあると敬遠される傾向にあります。
たとえば、前面道路が狭く車の出入りがしにくい、日当たりや風通しが悪い、周辺環境に騒音や臭気などの問題があるといったケースです。また、間取りの使い勝手が悪い、収納が極端に少ないといった設計上の問題も購入をためらわせる要因になります。
2.売れ残りの建売住宅を購入するメリット
建売住宅が売れ残ってしまう原因は複数ありますが、売れ残りという印象だけで敬遠するのは早計です。
実は、売れ残りの建売住宅には、購入者にとって有利となる点も数多く存在します。価格面での優遇や即入居できるスケジュール感など、タイミングによっては大きな恩恵を受けられることもあります。
ここでは、売れ残り物件を購入する主なメリットを解説します。
2-1.値引き交渉に応じてもらえる可能性が高くなる
売れ残りの建売住宅は、販売事業者にとって在庫となってしまうので、価格交渉の余地が生まれるケースも少なくありません。特に販売開始から数か月以上経過している物件では、売主がある程度の値下げを前提としていることもあります。
建売住宅は時間が経つほど「築年数」が加算され、資産価値の評価にも影響が出ます。できるだけ早く売却するために、販売事業者が価格を柔軟に見直すことが期待できます。
2-2.建築後時間が経った状態を確認できる
建売住宅の多くは完成済みの状態で販売されますが、売れ残り物件ではさらに建築後一定の期間が経過していることが一般的です。
建物の外壁の色褪せ、建材の収縮による歪み、設備の動作確認など、時間の経過による劣化や変化が現れていれば、それらを事前に確認できます。施工直後には見えにくい欠点や仕上がりの粗さを把握できるため、購入後のリスクを軽減する材料になります。
2-3.購入してすぐに入居できる
売れ残りの建売住宅はすでに建築が完了しており、契約・引き渡しが済めば短期間で入居できる点が大きな利点です。
新築住宅では、契約後に建築を待つ期間が発生するため、引っ越しのスケジュールを柔軟に組むことは難しいのが一般的です。一方、売れ残り物件であれば建物の完成を待つ必要がなく、ローン審査や登記手続きが完了し次第、すぐに生活をスタートできます。
特に転勤や子どもの入学など、時期が限定される引っ越しを検討している方にとっては、スムーズな移住を実現しやすい選択肢です。
3.売れ残りの建売住宅を購入するデメリット・注意点
売れ残りの建売住宅には価格面などのメリットがある一方で、いくつか注意すべきポイントも存在します。
売れ残っている理由が不明確な場合や、保証・減税措置などに影響が出る場合は、購入前にしっかりと確認することが大切です。ここでは、主なデメリットとその対策について解説します。
3-1.売れ残りの理由が不明だと後で問題が起きる恐れもある
売れ残り物件の中には、立地や設計、周辺環境などに何らかの問題を抱えているケースがあります。購入時に「なぜ売れていないのか」を確認しておかないと、入居後に思わぬ不便さやトラブルに直面する可能性があります。
対策としては、現地での十分な内見に加えて、時間帯を変えて周囲の状況を確認したり、不動産会社に売れ残りの理由を率直に尋ねたりすることが有効です。
3-2.保証や減税措置を受けられない可能性がある
建売住宅は原則として「新築住宅」として取り扱われ、一定の保証や減税措置の対象となりますが、売れ残りの期間によってはその扱いが変わる場合があります。
たとえば、完成から時間が経過していると住宅ローン控除やすまい給付金などの優遇制度を受けられないことがあります。また、住宅の品質を保証する期間(瑕疵担保責任の10年保証など)も、引き渡しベースではなく建築完了日を起点とするため、保証期間が短くなっている可能性があります。
こうしたリスクに備えるには、契約前に「新築」としての取り扱いがどうなるか、各種制度の適用要件を確認することが重要です。不動産会社や金融機関に事前に相談し、優遇制度が使えるかどうかを確認しておけば、想定外の出費を防げます。
3-3.売れ残り期間が長いと劣化が起きている可能性がある
建売住宅は誰も住んでいなくても、建築後の経年劣化が発生します。
長期間売れ残っている物件では、外壁の汚れや防水シートの劣化、クロスやフローリングの浮きといった現象が見られることもあります。特に換気されていないまま長期間放置されていると、内部に湿気がこもってカビや腐食の原因になるため注意が必要です。
購入前には、物件の状態を細かくチェックしておきましょう。可能であれば建築士や住宅診断士によるインスペクションを依頼して、劣化箇所の有無や補修の必要性を確認し、必要であれば修繕を売主側に依頼することも大切です。
まとめ
建売住宅が売れ残る背景には、分譲価格の高さや供給過多、立地や設計に関するマイナスポイントなど、複数の要因が複雑に絡み合っています。しかし、売れ残りの建売住宅には、価格交渉がしやすくなる、契約後すぐに入居できるなどの利点も存在します。保証制度や減税措置の対象外となる可能性や、劣化リスクなど注意すべき点もあるため、事前の確認と対策を行いましょう。
売れ残りの理由を丁寧に探り、現地確認や専門家の診断を活用すれば、思わぬ掘り出し物に出会えるチャンスもあります。最終的には、自身のライフスタイルや予算に合った選択をすることが、後悔のない住宅購入につながります。
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