
土地を現金一括で購入するメリットとデメリット・注意点を解説
マイホームを建てるのにはまずは土地が必要ですが、大きな金額を用意できる場合は、現金一括で買うか、ローンを組んで買うか迷われる方もいるのではないでしょうか。
現金一括で購入することのメリットは、金利負担がないことや、手続きがスムーズに進められることなどがあります。一方で、まとまった現金が必要になることや、将来の資金計画に影響を与える可能性があることなど、デメリットも存在することを念頭に置いておきましょう。
この記事では、土地を現金一括で購入するメリットとデメリット・注意点などを詳しく解説します。
目次
1. 土地を現金一括で購入するメリット
現金一括で購入するメリットは、金銭的なメリットだけでなく、心理的な安定感や手続きの簡素さなど、さまざまな面でメリットがあります。もちろん、デメリットも存在するため、自身の状況や将来の計画を考慮して、慎重に検討することが重要です。
以下では、土地を現金一括で購入するメリットを5つ紹介します。
※なお、住宅を建築・購入する目的以外の土地の購入の場合は、住宅ローンは原則使えません。土地を購入し、その後に注文住宅を建築する場合には、土地先行融資やつなぎ融資などが使えます。土地先行融資は、土地を購入する際に、その土地を担保にして融資を受ける方法です。その後、住宅ローンを組む際に、土地と建物一括で評価され、金利が再設定されるのが一般的です。つなぎ融資は、土地を購入し、家が完成するまでの期間、資金を借り入れる方法です。土地を担保にするのではなく、無担保の融資となります。
1-1. ローンによる出費を抑えられる
ローンを組む場合、元本の支払いだけでなく、金利も支払う必要があります。金利は、物件価格や金利水準によって大きく変動しますが、数百万円から数千万円にのぼるケースも珍しくありません。現金一括で購入することで、金利の支払いをなくせます。
また、ローンを組む際には、事務取扱手数料や保証料など、さまざまな手数料がかかります。これらの手数料も、現金一括で購入することで不要になります。
1-2. 保証会社に支払う保証料が不要になる
ローンを組む際には、基本的に「保証料」が発生することが多いです。保証料とは、万が一、ローンを返済できなくなった場合に、保証会社が代わりに金融機関へ返済してくれることを保証する、その対価として支払う費用です。なお、保証会社を利用しないでよいローンを取り扱う金融機関もあります。
保証料は、物件価格の一定割合でかかるため、数十万円から数百万円の費用になります。現金一括で購入すれば、この保証料も不要です。
1-3. ローンの審査の準備負担がなくなる
ローンの審査には、収入証明書や源泉徴収票など、さまざまな書類の準備が必要です。また、金融機関とのやり取りも発生するため、時間と手間がかかります。
現金一括で購入すれば、これらの準備や手続きが不要になります。
1-4. 早く入居できる
ローンを組む場合、審査に一定の時間がかかるため、土地を手に入れるために数か月かかることがあります。現金一括で購入すれば、審査の手続きが不要なため、スピーディーに土地を手に入れられます。
1-5. 数百万円の金利が不要になる
ローンを使用しなければ、数百万円から数千万円程度の金利負担がなくなります。
例えば、3,000万円の土地を35年ローンで借り入れた場合、金利が年率1%だとすると、総支払額は約4,050万円となり、金利だけでも約1,050万円支払うことになります。単純化した事例にはなりますが、現金一括で購入すれば、この1,050万円を他の用途に充てられます。
2. 土地を現金一括で購入するデメリット・注意点
土地を現金一括で購入することは、金銭的な余裕があれば魅力的な選択肢と言えますが、慎重に検討すべき点もいくつかあります。以下では、デメリットや注意点を3つ紹介します。
2-1. 貯金が一気になくなる
土地購入は高額な買い物であるため、現金一括で購入すると貯金が大幅に減少し、今後の生活資金が不足する可能性があります。病気や失業など、突発的な支出が必要になった場合に、対応が苦しくなる可能性もゼロではないでしょう。
他にも、子どもの教育費や老後の資金など、将来大きな支出が予想される場合にも、十分に備えることが大切です。
2-2. 住宅ローン控除が利用できなくなる
これは、土地というよりも建物を現金一括で購入するデメリットの1つです。また、土地先行融資を利用する場合は、条件によっては住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)を受けることができます。
そもそも、建物の新築に係る住宅ローンがないケースでは、住宅借入金等特別控除の適用を受けられません。土地の取得に係る住宅ローンにおいて、住宅借入金等特別控除が適用されるケースは、建物を住宅ローンで取得した上で、建物に対して住宅借入金等特別控除の対象となる住宅ローンの年末残高がある場合に限られます。
出典:国税庁「No.1225 住宅借入金等特別控除の対象となる住宅ローン等」
また、土地部分のローンについて住宅借入金等特別控除を受けるためには、特定の条件を満たす必要があります。代表的な要件は、土地を取得してから2年以内に建物を新築することです。2年以内に建物が完成しないと、土地部分のローンに対する住宅借入金等特別控除の要件を満たせなくなるので注意が必要です。
2-3. 税務署の調査が入るケースがある
高額な土地を現金で購入する場合、税務署は、その資金がどこから得られたものなのか、その正当性を確認するため、税務署からお尋ねの手紙が届くことがあります。
お尋ねは回答義務はないものの、お尋ねを放置すると、税務署は税務調査として内容確認を行うケースもあるので、基本的には回答することが好ましいです。
3. 土地を現金一括で購入する際の諸費用
土地を現金一括で購入する際の諸費用について、詳しく解説します。
なお「現金一括で」と記載していますが、ローンを使っても以下の費用はかかります。そのため、ローンにかかる諸費用が現金一括の場合はないと考えるとよいでしょう。
3-1. 売買契約書印紙代
売買契約書印紙代とは、土地売買契約書に貼る印紙税のことです。
契約金額に応じて税額が変動します。1,000万円を超え5,000万円以下のものであれば、印紙税は1万円(軽減後の税率)です。現在は、不動産の譲渡に関する契約書において、印紙税の軽減措置が講じられています。
3-2. 仲介手数料
土地売買の仲介を行った不動産会社に支払う手数料です。不動産会社が仲介業務を行った対価として支払います。
800万円超の売買価格の場合は「売買価格×3%+6万円(+消費税)」、800万円以下の売買価格の場合は売買代金に応じて以下のように計算されます。
- 売買価格200万円以下の部分:5.5%
- 売買価格200万円超400万円以下の部分:4.4%+2万2千円
- 売買価格400万円超800万円以下の部分:3.3%+6万6千円
3-3. 登記費用
土地の所有権を移転するための登記手続きにかかる費用です。土地の所有者を変更するためには、必ず登記手続きが必要となります。
内訳としては、以下の通りです。
- 登録免許税
土地の価格に応じて算出される税金です。 - 司法書士手数料
登記手続きを代行してもらうための費用です。
登録免許税の税率は、不動産の価額の1.5%(※2026年3月31日までの間に登記を受ける場合の軽減税率)です。
土地の固定資産税評価額で決められるため、土地購入時の売買価格は影響しません。
司法書士報酬は、3~10万円程度が相場です。
3-4. 固定資産税等清算金
土地を途中で売買する場合に、固定資産税の負担を売主と買主で按分するための費用です。
固定資産税は1月1日時点の所有者に課税されるため、売買契約日によって、売主と買主で負担割合が異なります。
まとめ
土地の一括購入と分割購入では、それぞれメリットとデメリットがあり、どちらを選ぶかは、個人の資産状況、将来の計画、リスク許容度など、さまざまな要素を総合的に判断する必要があります。
土地を現金一括で購入するメリットとしては、まずは金利負担がないことや、手続きが簡素なことが挙げられます。ローンの手続きが不要なため、スムーズに取引を進めやすいでしょう。また、自分の資産ですべてを賄うため、ローンを背負うという負担がなく、心理的な安定感を得られます。
まとまった資金があり、将来の資金計画に余裕がある方は、基本的には現金一括購入が一般的にはおすすめと言えるでしょう。
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