新築キッチン、何年後に交換が必要? 住宅設備のメンテナンス方法を解説
新築時はピカピカだったキッチンも、暮らしを重ねていけばさまざまな不調が出てくるものです。毎日がんばってお掃除していても、どうしても避けられないのが設備の劣化による不具合です。
住み始めてどのくらい経つと、どんな不具合が出てくるのでしょうか? ある日突然、使えなくなって困った! なんてことのないように備えておきたいですよね。そこで、住宅設備のプロに質問! キッチン・メンテナンスのタイミングと内容を教えていただきました。
<お話を伺った方> 株式会社LIXIL(リクシル)キッチンCX推進担当 木村昌雄さん |
キッチンにはどんな住宅設備がある?
水まわりやコンロまわりなど、毎日の炊事に欠かせない設備が満載なキッチン。経年劣化に注意したいモノが多くそろっていますよね。
- 水栓金具
- シンク/排水トラップ
- ガスコンロ/IHクッキングヒーター
- 換気扇/レンジフード
- 食器洗い乾燥機
- キャビネット
- 床/壁紙といった内装
それぞれ点検や部品交換などメンテナンスのタイミングが異なります。タイミング別に順を追って必要なメンテナンス内容をみていきましょう。
タイミングは「短」「中」「長」で考えよう
タイミングは、おおまかに「短期」「中期」「長期」で考えると分かりやすいでしょう。
- 短期:入居後5年前後
- 中期:入居後10年前後
- 長期:入居後15年前後
- 長期:入居後15年以上
設備の使用頻度や使い方によって経年劣化の度合いは異なります。おおよその区切りを意識しておくことで、日ごろのお掃除の計画や点検、交換といったメンテナンスの見通しがたちます。
短期(入居後5年前後)で必要なメンテナンス
普段の小まめなお掃除は、設備の経年劣化を遅くするためにもオススメです。
汚れのこびりつきによるコンロの機能不全や、部品交換などは日々のお手入れで防ぐことができます。住宅設備の寿命を延ばすためには、小まめなお掃除がなによりのメンテナンスです。
それでも5年ほど経過すると、水まわりの機能部品などに気になる点が出てくるのではないでしょうか。金具の緩みや、水漏れ等をしていないか適宜点検してみるとよいでしょう。
水栓金具
水栓金具のハンドル、バルブ部、パッキンなどの部品のゆるみは水漏れの原因に。
ガスコンロ/IHクッキングヒーター
五徳、グリル焼き網、受け皿等の汚れが落ちない場合は、部品交換がオススメ。
このほか収納の扉や引出しにズレやガタツキがでてくる可能性も。点検して不具合があれば調整をしましょう。
中期(入居後10年前後)で必要なメンテナンス
住宅設備も家電と同じように、適宜買い替えるのがオススメ。住宅設備も日々進化しており、10年前の製品と現在の製品を比べると、安全面でも機能面でも全く異なります。
たとえば、ガスコンロが原因の火災が問題になり、法整備が進んで「安全センサー付き」が義務化されたのが14年前の2008年。機能面では「両面グリル」「オート調理機能」などより調理をラクに手際よくなる機能が進化しています。
ガスコンロ/IHクッキングヒーター
ガスコンロの場合、電池交換は適宜行いましょう。電池を交換しても、五徳をキレイに洗っても着火せず、バーナーの火がヒマワリ型に一周きれいに出ないなどの不具合が発生したら、少なくとも部品交換を考えたいタイミング。メーカー推奨としては、10年を目途にコンロをまるごと交換するのがベストなのだそうです。
換気扇/レンジフード
一般的にレンジフードは使用10年程度で交換がオススメ。
長期(入居後15年前後)で必要なメンテナンス
住宅設備の大きな問題は、水まわりの水漏れです。問題が起こる前に、早め早めの対処がポイント。15年を目安に水まわりの部品・装置の交換は積極的な対応を考えましょう。
食器洗い乾燥機
点検または交換が必要となります。
※消費生活用製品安全法 点検制度対象商品。安全を保つために点検が必要
水栓金具
逆流防止装置は交換を。
入居後15年以上で必要なメンテナンス
システムキッチンの場合、15年以上経過すると丸ごと交換するリフォームが視野に入ってきます。設備の交換とあわせて、床や壁紙の張替えを検討する場合も多いようです。
キッチンの設備は加熱機器、レンジフードを中心にどんどん進化しています。デザインそのものの進化はもちろん、安全装置の強化、節電・節水といった省エネルギー化、ハンズフリー水栓といった新しい機能の登場などなど……。15年前には存在しなかったものが、最新の設備には搭載されています。
収納設備の進化も著しいものがあります。今では主流になった引き出しタイプの収納は「上から全部見える」「奥まで見える」というかたちで収納を格段に効率化しました。
15年後の未来には、どんな進化を遂げているか乞うご期待です。
10年~15年後に向けて計画的に
ここまで、住宅設備機器・建材メーカー LIXILの木村さんに教えていただきました。
住宅設備のメンテナンスは安全・機能面だと「水が流れてくるところ」「電気が流れてくるところ」は特に要注意だということがわかりました。問題なく使えていると思っていても、それは“だましだまし”使えているだけの可能性もあるので要注意です。
がんばって建てるお家だから末永く快適に、そして安全に住み続けていくためにも、適切なタイミングで適切なメンテナンスを心がけていきたいですね。そのためにも新築時の住宅設備選びは、10年後、15年後を見据えて賢く計画的に!
※記事内の写真はイメージです。