注文住宅にかかる諸費用はいくら?相場や内訳・支払いの時期を解説
注文住宅を建てるときは、土地代や建物代のほかに「諸費用」がかかります。諸費用の相場は、土地代と建物代を合わせた金額の1割~1割5分が目安です。たとえば土地と建物で6,000万円なら、600万~900万円ほどを別に準備しておく必要があります。
また、諸費用には印紙税や登記費用、住宅ローンの手数料、火災保険料など多くの項目があり、支払う時期もそれぞれ異なります。内訳を知らないまま資金計画を立てると、想定外の出費で予算がオーバーするリスクが高まるでしょう。
この記事では、注文住宅の諸費用の相場と内訳、支払いの時期、費用を抑えるコツを解説します。土地代や建物代とは別に必要な自己資金を見積もり、無理のない資金計画を立てるための参考にしてください。
目次
1.注文住宅に必要な諸費用の相場はいくら?
注文住宅の諸費用の相場は、土地代と建物代を合わせた金額の1割~1割5分が目安です。
注文住宅の諸費用とは、土地代や建築費といった本体の費用とは別の、税金・手数料・登記費用といった費用のことです。
国土交通省の「令和6年度 住宅市場動向調査」によると、土地を購入して注文住宅を建てた世帯の費用は、建物の建築費が平均4,196万円、土地の購入費が平均1,992万円でした。合わせると6,188万円です。
土地と建物の購入費をもとに計算すると、諸費用の相場は約620万~930万円が目安となります。
注文住宅に必要な費用
| 平均額 | |
|---|---|
| 建物の建築費 | 4,196万円 |
| 土地の購入費 | 1,992万円 |
| 土地代+建物代の合計 | 6,188万円 |
| 諸費用の目安(合計の1~1.5割) | 約620万~930万円 |
諸費用は現金で支払う場面が多く、住宅ローンに組み込みにくい費目もあります。そのため、土地代や建物代とは別に、まとまった自己資金を準備しておくと安心です。
2.注文住宅の諸費用の内訳や支払い時期
注文住宅の諸費用は、大きく「土地取得」「建物」「住宅ローン」「その他」の4つに分けられます。費目ごとに金額の目安と支払う時期が異なるため、内訳を1つずつ確認して、いつ・いくら現金が必要になるかを把握しておきましょう。
なお、税金の軽減措置には適用期限があり、金額は固定資産税評価額や契約金額によって変わります。以下の金額はあくまで目安として確認してください。
2-1.土地取得にかかる諸費用
土地を購入して注文住宅を建てる場合、土地の売買契約や登記、税金にかかる費用が必要です。
土地取得にかかる代表的な諸費用(2026年6月時点の金額)
| 費目 | 金額の目安 | 支払い時期 |
|---|---|---|
| 印紙税(土地売買契約書) | 契約金額1,000万円超~5,000万円以下で1万円 | 売買契約時 |
| 仲介手数料 | 売買価格×3%+6万円+消費税が上限(価格400万円超の場合) | 売買契約と引き渡しのタイミングで分けて支払うことが多い |
| 所有権移転登記の登録免許税 | 固定資産税評価額×1.5% | 引き渡し・登記時 |
| 不動産取得税 | (固定資産税評価額×1/2)×3% | 取得後、納税通知書が届いたとき |
| 固定資産税・都市計画税の清算金 | 引き渡し日以降の分を日割り計算し、売主へ支払う | 引き渡し時 |
出典:国税庁「No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」
印紙税は契約書1通ごとにかかり、紙の契約書に収入印紙を貼って納めます。売主と買主がそれぞれ1通ずつ保管する場合は、各自が1通分を負担します。電子契約で締結すると印紙税はかかりません。
仲介手数料は不動産会社へ支払う成功報酬で、売買契約が成立したときに発生します。表の金額は宅地建物取引業法で定められた上限額です。ハウスメーカーや分譲会社が売主となる土地を直接購入する場合は、仲介する会社がいないため仲介手数料はかかりません。
所有権移転登記の登録免許税は、売買価格ではなく固定資産税評価額をもとに計算します。土地は2.0%が本則ですが、軽減措置で1.5%に下がります。
不動産取得税は、取得してすぐに支払うのではなく、取得から数か月後に都道府県から納税通知書が届いてから納めます。住宅用の土地は軽減措置や減額制度があり、要件を満たすと税額が大きく下がる、または実質ゼロになる場合もあります。
固定資産税・都市計画税は、その年の1月1日時点の所有者に1年分が課税されます。年の途中で引き渡しを受けると、引き渡し日以降の分を買主が日割りで負担し、先に納めている売主へ清算金として支払います。税金そのものではなく売主への精算金で、起算日を1月1日とするか4月1日とするかは地域の慣習によって異なります。
また、住宅を建てるときには土地の購入にかかわる税金の軽減や補助金が存在するため、活用することで負担を軽減できます。
2-2.建物にかかる諸費用
建物の建築では、工事請負契約や設計、確認申請、登記にかかる費用が発生します。
建物にかかる代表的な諸費用(2026年6月時点の金額)
| 費目 | 金額の目安 | 支払い時期 |
|---|---|---|
| 印紙税(工事請負契約書) | 契約金額1,000万円超~5,000万円以下で1万円 | 工事請負契約時 |
| 設計料 | 工事費の数%~十数%(ハウスメーカーが工事費に含む場合もある) | 設計契約時から引き渡しまで分割で支払うことが一般的 |
| 建築確認申請手数料 | 数万円程度(自治体や床面積によって異なる) | 確認申請時 |
| 完了検査手数料 | 数万円程度(自治体や指定確認検査機関、床面積によって異なる) | 建物完成時 |
| 土地家屋調査士報酬(建物表題登記) | 8万~12万円程度 | 建物完成後の登記時 |
| 建物登記費用(所有権保存登記の登録免許税) | 固定資産税評価額×0.15% | 引き渡し・登記時 |
| 司法書士報酬 | 数万円~十数万円程度 | 引き渡し・登記時 |
出典:国税庁「No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」
工事請負契約書の印紙税は、契約金額に応じて決まります。土地の売買契約書と同じく軽減措置の対象で、建設工事の請負契約に適用されます。
設計料は、間取りや仕様を図面に落とし込むための費用です。ハウスメーカーや工務店に依頼する場合は本体の工事費に含まれていることが多く、設計事務所に個別に依頼する場合は工事費の10~15%程度を別途支払うのが一般的です。設計契約時の着手金、設計完了時、引き渡し時など、段階に分けて支払う形が多くみられます。
建築確認申請手数料は、設計した建物が建築基準法に適合しているかの確認を受けるための費用で、着工前に納めます。工事の完了後には完了検査の手数料も別途かかります。
建物の登記は2段階に分かれます。まず建物の所在・面積・構造などを登録する表題登記を土地家屋調査士が行い、次に所有者を示す所有権保存登記を司法書士が行います。表題登記には登録免許税はかかりませんが土地家屋調査士への報酬が必要で、所有権保存登記には登録免許税(評価額×0.15%)と司法書士報酬がかかります。表の司法書士報酬は、これらの手続き代行に対して支払う費用です。
2-3.住宅ローンにかかる諸費用
住宅ローンを利用する場合、契約や融資、保証、保険にかかる費用がかかります。
住宅ローンにかかる代表的な諸費用(2026年6月時点の金額)
| 費目 | 金額の目安 | 支払い時期 |
|---|---|---|
| 印紙税(金銭消費貸借契約書) | 契約金額1,000万円超~5,000万円以下で2万円 | ローン契約時 |
| 融資事務手数料 | 定額型は3万~5万円程度、定率型は借入額×2.2%(税込)が一般的 | ローン実行時 |
| ローン保証料 | 一括前払い型は借入額の2%程度 金利上乗せ型は金利+0.2%程度 | 一括前払い型は実行時 上乗せ型は毎月の返済に含む |
| 団体信用生命保険料 | 一般団信は金利に含まれることが多い がん保障などの特約は金利上乗せ | 金利に含む場合は毎月の返済時 |
| 抵当権設定登記の登録免許税 | 借入額×0.1% | ローン実行・引き渡し時 |
| 抵当権設定登記の司法書士報酬 | 数万円程度 | ローン実行・登記時 |
| 火災保険料 | 新築の一戸建てで年間約1万~4万円が目安 | 引き渡し前後 |
| 地震保険料 | 保険金額1,000万円あたり年約7,300円~41,100円(都道府県・建物構造によって異なる) | 火災保険に付帯して加入 |
出典:財務省「地震保険の基本料率(令和4年10月1日以降保険始期の地震保険契約)」
金銭消費貸借契約書の印紙税は、お金を借りる契約書に貼ります。住宅の売買契約書や工事請負契約書とは異なり軽減措置の対象外で、本則の税額がかかります。ネット銀行などの電子契約では印紙税がかからない場合もあります。
融資事務手数料は、金融機関に支払う手続き費用です。数万円で済む定額型と、借入額に料率をかける定率型があります。定率型は金利がやや低く設定される代わりに初期費用が大きくなる傾向があり、どちらが有利かは借入額と返済期間で変わります。
ローン保証料は、返済が滞ったときに備えて保証会社に支払う費用です。契約時にまとめて支払う一括前払い型と、金利に上乗せして毎月支払う型があります。最近は保証料が不要で、その分を定率型の事務手数料で支払う商品も増えています。一括前払い型は、繰り上げ返済で期間が短くなると一部が戻る場合があります。
団体信用生命保険は、契約者に万一のことがあったときに残りのローンが弁済される保険です。一般的な保障は金利に含まれていることが多く、がんや三大疾病などの特約を付ける場合は金利に上乗せされます。
抵当権設定登記は、土地や建物を担保に入れる登記で、借入額に対して登録免許税(軽減後0.1%)がかかります。手続きを司法書士に依頼する場合は、別途報酬が必要です。
火災保険は、住宅ローンを組む際の加入条件になっていることが多い費用です。建物だけを対象にするか家財も含めるか、水災を補償に入れるかなどで保険料が変わります。契約期間は最長5年で、まとめて契約するほど割安になる傾向があります。地震保険は単独では加入できず、火災保険に付帯して加入します。保険料は建物の所在地と構造で決まり、耐震性能に応じた割引制度もあります。
2-4.その他の諸費用
税金やローン関連以外にも、入居までにそろえる費用や、手続きにかかる費用があります。
| 費目 | 金額の目安 | 支払い時期 |
|---|---|---|
| 水道・ガス・電気の引き込み工事費 | 水道は約30万~50万円、ガスは約10万~20万円が目安 電気は本体工事に含まれることが多い | 工事時 |
| 水道加入金(給水負担金) | 自治体やメーター口径で異なり、口径20mmで約4万~20万円程度 | 給水申し込み時 |
| 引っ越し費用 | 単身で約3万~10万円、家族で約7万~20万円が目安 | 引っ越し時 |
| 仮住まい費用 | 家賃の半年~1年分に敷金・礼金を加えた額。家賃10万円なら約70万~130万円が目安 | 仮住まいの契約時 |
| 家電・家具の購入費 | 国土交通省の調査では、注文住宅の取得に伴う家電・家具などの購入額は平均約159万円 | 入居前後 |
| 住所変更・各種手続きに伴う費用 | 住民票や印鑑証明などの発行手数料は1通あたり数百円程度で、合計で数千円程度 | 手続き時 |
| 地鎮祭・上棟式の費用 | 地鎮祭は約3万~5万円、上棟式は約5万~10万円が目安(上棟式は省略する場合もある) | 着工時・上棟時 |
水道・ガス・電気の引き込み工事費は、敷地の前面道路に本管があるかどうかで大きく変わります。本管がない場合や、引き込み管が細くて引き直しが必要な場合は、数十万円規模の費用がかかることがあります。電気の引き込みは本体工事に含まれることが多い一方、上下水道やガスは別途費用になりやすい点に注意が必要です。
水道加入金(給水負担金)は、新たに水道を使い始めるときに自治体へ納めるお金です。名称や金額は自治体ごとに差が大きく、メーターの口径が太いほど高くなります。
引っ越し費用や仮住まい費用は、住み替えの形によって変わります。古い家を取り壊して建て替える場合は、工事中の仮住まいの家賃や敷金に加え、仮住まいへの引っ越しと新居への引っ越しで2回分の費用がかかります。
家電・家具の購入費は人によって幅がありますが、国土交通省の調査では注文住宅の取得に伴う購入額が平均約159万円となっており、まとまった出費になりやすい費目です。また、地鎮祭や上棟式は工事の節目に行う儀式で、地鎮祭では神主への初穂料などがかかります。上棟式は省略する家庭も増えています。
3.諸費用を安く抑えるコツはある?
諸費用には、工夫しだいで抑えられる費目があります。費用を抑えるコツは次の4つです。
・複数の金融機関を比較する
融資事務手数料や保証料の決め方は金融機関によって異なります。手数料・保証料・金利を含めた総額で複数の金融機関を比べると、初期費用を抑えやすくなります。
・火災保険・地震保険を見直す
補償内容を必要な範囲に絞り、複数の保険会社で見積もりを取りましょう。また、契約期間を長くまとめることで、保険料が割安になります。
・電子契約を利用する
売買契約や工事請負契約を電子契約で結ぶと、紙の契約書に必要な印紙税がかかりません。
・軽減措置や補助金を活用する
登録免許税や不動産取得税の軽減措置に加え、国や自治体の補助金・減税制度を使えるか、依頼先や自治体の窓口で確認しましょう。
まとめ
注文住宅の諸費用は、土地代と建物代を合わせた金額の1割~1割5分が目安です。印紙税や登記費用、住宅ローンの手数料、火災保険料など項目が多く、現金で支払う場面も少なくありません。支払う時期も契約時・引き渡し時・入居後とさまざまなため、内訳と支払いの時期を早めに把握し、土地代や建物代とは別に必要な自己資金を準備しておくことが、無理のない資金計画につながります。保険やローンの費用は比較や見直しで抑えられる部分もあるため、依頼先とも相談しながら検討しましょう。
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