分譲住宅の間取りや選び方のポイント|後悔しないための注意点も解説
一度分譲住宅に住み始めると、賃貸住宅と違って気軽に引っ越しすることができません。家族にとって最適な間取り・快適な居住空間であるかどうか、事前に確認してから購入しなければ、将来後悔するかもしれません。
住みやすい分譲住宅を選ぶ際は、すべて自分たちの理想通りの物件を探すのではなく、ポイントを絞って優先順位をつけることが大切です。
この記事では、分譲住宅の間取り・選び方のポイントを、注意点と合わせて解説します。
1.分譲住宅についておさらい
分譲住宅とは、不動産会社がまとめて購入した土地を分割し、そこに住宅を建てて販売するものをいいます。建てる棟数が決まっていて、同種の住宅を建築することにより建築コストが下がるため、その分安価に購入できるのが特徴です。
分譲住宅に関しては、未完成の物件が販売されていることもありますが、一般的には完成形ないしモデルハウスを確認してからの購入となります。デザイン・間取りに関しては、万人向けのものが採用されているケースが多く見られ、注文住宅と比較して購入者の要望を反映させられる範囲が限られてきます。
逆に考えれば、一から模型や設計図を見て頭を悩ませる手間がないため、デザイン的なこだわりがない人にとっては負担の少ない選択肢といえます。実際の住宅の外観・内装を確認しながら、生活する際のイメージを膨らませることができ、家具・家電の購入などについて具体的に検討しながら選べるのがメリットです。
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2.分譲住宅の間取りでチェックしたいポイント
実際に分譲住宅を選ぶ際は、家族全員にとって住みやすい間取りかどうか、将来にわたり住み続けられるかどうか、入念に確認しましょう。以下、間取りの具体的なチェックポイントについて解説します。
水回り
浴室・洗面所・トイレ・キッチンといった水回りは、家族全員が利用する場所です。不便な間取りになっていると、家族がストレスを抱えることになるため、よく相談して決めましょう。
例えば、子育て世帯・DINKSの場合、家事の手間を省けるような間取りを探すという選択肢が考えられます。2階に水回りが配置されていて、廊下をまっすぐ歩けばバルコニーに着く間取りなら、洗濯がラクになるはずです。
二世帯で暮らす場合、あるいは中学生・高校生の子供と暮らしている家庭の場合は、トイレ・洗面所・浴室が完全に分かれているタイプの間取りを選ぶと、脱衣スペースもありプライバシーに配慮できるでしょう。ただし、水回りが1ヶ所にまとまっていた方が、配管が短くなり修理・メンテナンスの負担が少なくなるため、他の部屋の配置も含めて検討したいところです。
音の観点からは、洗濯機が動いてもうるさくないかどうか、排水音が家中に響くことはないかどうか確認しましょう。赤ちゃんや小さい子供を寝かしつける場合、お風呂から寝室まで直行できると便利です。
窓
窓がある場所は、採光や温度管理・風の通りなどを確認する上で重要です。寒い地域なら、リビングに西日が入っても問題ないかもしれませんが、夏場が暑い地域では、日光が室内の温度を上げてしまいます。
暑さに弱い家族がいる場合、西日が入るリビング・部屋があると、体調を崩しやすくなるかもしれません。遮光性の高いカーテン・断熱フィルムなどを使って温度上昇をやわらげる方法もありますが、できれば家選びの段階から西日が入りにくい物件を選びたいところです。
風通しを考慮するのであれば、建物のそばに窓がない・窓の位置に高低差がある物件を選ぶことで、良い空気の流れが生まれます。吹き抜けから室内を見下ろせる室内窓も人気ですが、寝室・子供部屋に室内窓がある場合、誤って子供が転落してしまうおそれもありますから注意しましょう。
収納
収納スペースが少ないと、どうしてもモノが目立ってしまうため、収納スペースの多さにも気を配りましょう。一軒家の理想的な収納率は、全体の13%が目安といわれています が、必要十分な収納が設けられているかどうかは家庭の事情にもよります。
収納スペースは、多過ぎると居住スペースが少なくなり、少なすぎると収納用の家具を購入する必要が生じます。現在暮らしている住宅で不足を感じているなら、収納スペースの数や広さにも注目しましょう。
ミニマリストのように、最小限のモノで過ごしたいと考える家族にとっては、収納の多さはかえって宝の持ち腐れとなります。しかし、必要に応じてモノを出し入れし、居住スペースを広々と使いたいと考えているなら、収納は無視できません。
部屋数
たくさん部屋があると、それだけ複数の用途を想定して暮らせますが、家族の人数や年齢によって必要な部屋数は変わってきます。また、住んでいる間、ずっと同じ家族が・同じ部屋を・同じ目的で使うとは限りません。
例えば、子供が大きくなると、勉強部屋が必要になります。しかし、進学した学校によっては、寮生活をするため早いうちに子供が家を出る可能性もあります。
分譲住宅を購入する際は、その住宅が「可変的」な間取りかどうかを意識すると、将来の引っ越しを想定する必要がなくなります。例えば、可動式の間仕切り壁を使って部屋を仕切るなど、家族のライフサイクルよって過ごし方を変えられる家であれば、末永く暮らすことができるでしょう。
3.分譲住宅の間取りと一緒にチェックしたいポイント
分譲住宅を選ぶ際は、住宅の立地にも気を配りつつ、最適な間取りを選びたいところです。以下、分譲住宅で間取りと一緒にチェックしたいポイントについて解説します。
周辺環境
家族の理想に近い間取りの分譲住宅を見つけられたとしても、それだけで購入を決めてしまうと、後々後悔するかもしれません。例えば、角地の分譲住宅は人気ですが、どんな家族にも向いている家とは限りません。
玄関やリビングが道路に面していると、それだけ多くの人の目に映る機会が増えるため、プライバシーを重視する人にとっては落ち着かないでしょう。住宅の長所が短所になるおそれもあるため、実際に住んでみて自分たちが安心できるかどうか、事前に家族で話し合った方が賢明です。
交通の便についても、電車・バス・歩道橋など、安全性と利便性が十分かどうかチェックしましょう。交通量の多い道路に家が面しているなら、道路に面した部屋は子供部屋にしないなど、万一の事故を考えて間取りを検討することが大切です。
動線
住宅内をどのように移動するのか、そのルートを線で表したものを「動線」といいます。間取りをチェックする際は、それぞれの部屋から機能的に日常生活を送れるかどうか、動線を確認しましょう。
動線は、料理・洗濯・掃除などの家事をする際の「家事動線」と、トイレ・洗面所・浴室などを利用するときの「衛生動線」の2種類が有名です。どちらを優先するのかは、家族構成によっても異なりますが、可能であれば両方に配慮した間取りの家を探したいところです。
例えば、帰宅後すぐにパントリーへアクセスできると、1週間に1度の買い物など「まとめ買い」をした際に、荷物の整理がしやすくなります。シューズボックスや収納スペースなど、本来ならパントリーとして使用することを想定していない空間であっても、分譲住宅の間取りによっては、パントリーとして使った方が家事は楽になるかもしれません。
衛生動線を重視するなら、家族だけでなく来客時のトイレ事情にも目を向けて、1階・2階にトイレがある住宅を探すのも一手です。各部屋からのアクセスが良いなど、トイレが日常的に使いやすい位置に立地している間取りは、家族のストレスを減らすことにつながります。
4.分譲住宅を選ぶ際の注意点
分譲住宅を購入する際の注意点~購入の流れや資金計画についても解説~
許せる条件の範囲を限定しない
一から間取り・外装を決められる注文住宅と違って、分譲住宅を選ぶ際は、100%理想通りの家が見つかるとは限りません。理想の間取りにこだわるよりも、できるだけ幅を持たせた方が可能性も広がります。
立地やデザインが決まっている分譲住宅において、住宅や環境を変更するのは限界があります。子育てを優先するのか、生活のしやすさを優先するのかなど、それぞれの優先順位に従って判断しましょう。
資産価値について検討する
住宅は、購入して終わりではなく、やがて手放すときのことも考えなければなりません。住宅の資産価値が高い状態なら、住宅の売却価格も高まるため、資産価値が大幅に下がらない住宅を選びたいところです。
住宅の性能・立地によって、資産価値も変わってきますが、間取りに関しては「どんな人でも住める」方が買い手もつきやすくなります。できるだけ、可変性・普遍性を備えた住宅を探しましょう。
5.まとめ
分譲住宅の間取りは、総じて万人向けのものが多いため、居住者側が住宅に合わせて生活する必要があります。だからこそ、家族がストレスを感じないような間取りを実現しているかどうか、購入前に入念にチェックしましょう。
家族によって住宅に求める機能は異なるため、窓の位置や部屋の数など、気になるポイントを絞って確認することをおすすめします。家の外の環境や動線、資産価値についても考慮することで、最高の買い物ができるはずです。