住宅ローン控除の計算方法|手続き・必要書類も紹介
住宅ローンを組んでマイホームを購入した方にとって、家計の負担を軽減できる制度が「住宅ローン控除」です。毎年のローン残高に応じて税金が戻る仕組みですが、最大控除額や計算方法を正しく理解していないと、本来受けられるはずの減税メリットを逃してしまう可能性があります。
当記事では、住宅ローン控除の基礎から計算の手順、シミュレーションの考え方、2025年度の改正点や手続きに必要な書類など詳しく解説します。
目次
1. 住宅ローン控除とは?
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)とは、個人が住宅ローンを利用してマイホームを新築・購入・増改築した際に、一定の要件を満たすことで所得税から差し引ける制度です。令和4年1月1日から令和7年12月31日までに居住を開始した場合、年末時点の住宅ローン残高に基づき控除額が計算され、最長13年間にわたり減税を受けられます。
対象となる住宅の種類や居住年によって借入限度額や控除期間は異なります。ローンを利用しない場合でも、要件を満たす増改築などでは控除が認められるケースがあります。住宅取得時の大きな負担を軽減するために設けられた制度であり、マイホーム購入を検討する方にとって重要な税制優遇措置と言えるでしょう。
1-1. 住宅ローン控除の適用条件
住宅ローン控除を受けるためには、住宅の種類や所得、返済方法などに関して一定の要件を満たす必要があります。主な条件は以下の通りです。
- 住宅を新築・購入・増改築後、6か月以内に居住し、12月31日まで住み続けていること
- 住宅の床面積が50m2以上(一定の認定住宅は40m2以上)、かつ半分以上を自宅として利用していること
- 合計所得金額が2,000万円以下(特例住宅は1,000万円以下)であること
- 返済期間が10年以上の住宅ローンを利用していること
- 生計を一緒にする親族や特別な関係者からの取得でないこと、贈与による取得でないこと
- 居住年やその前後に譲渡所得の特例を利用していないこと
2. 住宅ローン控除の計算方法
住宅ローン控除の金額は、基本的に住宅ローンの年末残高を基準に算出されます。計算式は「年末残高 × 控除率(0.7%)」で、ここから各年の所得税額から差し引かれる仕組みです。ただし控除額には上限が設けられており、住宅の種類(認定長期優良住宅、省エネ基準適合住宅など)や居住開始年によって控除期間や限度額が異なります。
たとえば、省エネ性能の高い住宅は優遇され、より長く、かつ大きな控除を受けられるケースがあります。自分の住宅がどの区分に当てはまるかを理解しておくことが、控除額を正しく把握するためのポイントです。ここでは、住宅の区分ごとに詳しい仕組みを解説します。
2-1. 住宅ローン控除の最大控除額
住宅ローン控除の控除限度額は、住宅の性能や入居時期によって異なります。控除率はいずれも年末ローン残高の0.7%ですが、上限額は以下のように設定されています。性能が高い住宅ほど優遇される仕組みです。下記の表は、住宅性能が高いものから順に上から並べています。性能が高いほど、控除期間や控除額の優遇を受けやすい点が特徴です。
| 住宅区分 | 居住開始年 | 控除期間 | 最大控除額(各年) |
|---|---|---|---|
| 認定長期優良住宅 認定低炭素住宅 | 令和4・5年 | 13年 | 35万円 |
| 令和6・7年 | 13年 | 31.5万円(※特例で35万円) | |
| ZEH水準省エネ住宅 | 令和4・5年 | 13年 | 31.5万円 |
| 令和6・7年 | 13年 | 24.5万円(※特例で31.5万円) | |
| 省エネ基準適合住宅 | 令和4・5年 | 13年 | 28万円 |
| 令和6・7年 | 13年 | 21万円(※特例で28万円) | |
| その他の住宅 | 令和4・5年 | 13年 | 21万円 |
| 令和6・7年 | 0年 | 特例で最大14万円×10年 |
2-2. 住宅ローン控除額のシミュレーション
住宅ローン控除に関して、実際にいくら減税されるのかイメージしにくい方も多いでしょう。ここでは2025年に省エネ基準適合住宅へ入居したケースを例に、控除額をシミュレーションしてみます。
■試算条件
- 年収:600万円(会社員、30代・配偶者と子ども1人)
- 借入額:4,000万円(建物2,000万円・土地2,000万円)
- 金利:年1.9%(全期間固定・元利均等返済)、返済期間35年
- 所得控除:基礎控除・社会保険料控除のみ
- 住民税率:一律10%(均等割・調整控除は考慮せず)
- 2025年5月入居
■シミュレーション結果(1年目)
年末ローン残高は約3,946万円で、その0.7%は27万6,220円です。2025年入居の省エネ基準適合住宅では控除上限が21万円、特例対象個人の場合は28万円に設定されています。課税所得に対する所得税は約21万円のため、まず21万円が所得税から控除されます。特例対象であれば、残りの6万6,220円のうち最大7万円弱が住民税から控除されますが、住民税控除の上限(9万7,500円)以内に収まるため、全額控除が可能です。
結果として、通常の控除上限(21万円)の場合は所得税分のみが控除され、特例対象個人で上限28万円の場合には27万6,220円が全額控除されます。いずれのケースでも、控除は13年間続くため、累計で約273万円(通常)~約310万円(特例)の減税効果が見込めます。
このように、住宅ローン控除では、住宅性能や適用条件によって控除上限額が変わります。自身の住宅が特例対象となるかを確認し、所得税・住民税のバランスを踏まえてシミュレーションすることが大切です。
3. 2025年度には住宅ローン控除に関する改正がある?
2025年度(令和7年度)の税制改正大綱では、住宅ローン控除に関する優遇措置が引き続き実施されることが決まりました。特に子育て世帯や若者夫婦世帯に対する借入限度額の上乗せ措置が、令和7年入居分にも適用されます。これにより、認定住宅は5,000万円、ZEH水準省エネ住宅は4,500万円、省エネ基準適合住宅は4,000万円と、2024年・2025年入居と同じ水準が維持されます。対象となるのは、19歳未満の扶養親族を持つ世帯、または40歳未満の夫婦、40歳未満の配偶者を持つ夫婦などです。
新築住宅の床面積要件を40m2以上に緩和する特例についても期限が延長され、建築確認の期限が令和7年12月31日まで認められます。また、子育て対応リフォームに関する所得税の特例措置も2025年度に継続されることとなりました。こうした改正により、住宅取得やリフォームを検討する子育て世帯にとっては引き続き税制面での後押しが期待できます。
4. 住宅ローン控除に関する手続き・必要書類
住宅ローン控除を受けるには、確定申告や年末調整といった手続きが必要です。その際には金融機関から交付される書類や住民票など、いくつかの必要書類を準備する必要があります。ここでは手続きの流れと必要な書類について整理します。
4-1. 住宅ローン控除を受けるには確定申告(年末調整)が必要
住宅ローン控除を受けるための手続きは、初年度と2年目以降で異なります。まず初年度は、必ず自分で確定申告を行う必要があります。税務署に確定申告書を提出し、住宅ローン控除の適用を受ける形です。給与所得者であっても例外はなく、最初の年だけは確定申告が必須となります。
一方で、2年目以降は勤務先の年末調整で控除を受けられます。税務署から送付される「住宅ローン控除証明書」と、金融機関が発行する「年末残高証明書」を会社へ提出することで、自動的に控除が適用されます。
4-2. 確定申告・年末調整の際に必要な書類
住宅ローン控除を受けるためには、以下の書類を揃える必要があります。
■共通で必要な書類
- 住宅借入金等特別控除額の計算明細書
- 金融機関から交付される「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」
- 家屋の登記事項証明書(不動産番号の記載でも可)
- 売買契約書または工事請負契約書の写し
■条件によって必要な書類
- 土地も購入している場合:土地の登記事項証明書、土地の売買契約書の写し
- 国や自治体から補助金を受けた場合:補助金決定通知書
- 住宅取得資金の贈与を受けた場合:贈与税の申告書の写し
初年度はこれらを添えて確定申告を行います。2年目以降は、税務署から送られる「住宅ローン控除証明書」と年末残高証明書を勤務先に提出すれば、年末調整で控除を受けられます。
まとめ
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、住宅ローンを利用して新築・購入・増改築した際に、年末ローン残高の0.7%を最長13年間、所得税や住民税から差し引ける制度です。対象は床面積や所得、返済期間などの条件を満たす住宅で、省エネ性能の高い住宅ほど優遇を受けられます。
控除額は住宅区分や入居年により異なり、シミュレーションによって具体的な減税効果を確認することが大切です。初年度は必ず確定申告が必要となるため、必要書類をしっかりと揃えて提出しましょう。
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