住宅購入の予算相場はどのくらい?正しい予算の決め方と費用を抑える方法
住宅購入の予算はどのくらい確保すべきなのでしょうか。年収の5倍が目安とされることもありますが、人によって家族構成やライフプランなど条件が異なるため一概にはいえません。
無理な返済計画を立てるとその後の生活が苦しくなる可能性があります。自分に合った予算はどのくらいなのでしょうか。
そこで今回は、住宅購入の相場と正しい予算の決め方、費用を抑える方法を紹介します。
1.住宅購入の相場はどれくらい?
2022年の住友金融支援機構の調査によると、住宅購入の相場は以下の通りです。
注文住宅 | 分譲住宅 | |
全国平均 | 4,455万円 | 3,605万円 |
首都圏 | 5,133万円 | 4,133万円 |
近畿圏 | 4,658万円 | 3,578万円 |
東海圏 | 4,379万円 | 3,139万円 |
その他地域 | 3,980万円 | 2,905万円 |
住宅購入の相場には土地代が含まれているため、金額はエリアによって大きく異なります。特に「首都圏」は「その他地域」と比べて1,000万円以上の差があるので、住宅購入を機に首都圏に引っ越すという人は、相場観の違いに注意する必要があるでしょう。
2.正しい住宅購入予算の決め方
ここでは、正しい住宅購入予算の決め方を2つ解説します。自分に合った予算はどれくらいなのか考えてみましょう。
【予算の決め方①】住宅資金から考える
まずは、住宅資金の金額から予算を考える方法を紹介します。
住宅資金とはマイホームを購入する際に必要な「頭金」と「購入諸費用」のことです。購入諸費用には印紙税や登記費用、不動産取得税、登録免許税が含まれます。住宅資金は現金で支払うのが一般的なため、貯蓄として準備しておかなければなりません。
仮に分譲住宅を購入する場合、頭金の目安は物件価格の約7%、購入諸費用の目安は物件価格の3~7%といわれています。住宅資金を450万円用意できれば、住宅購入の予算は以下のようになります。
住宅資金450万円÷(頭金7%+購入諸費用5%)=3,750万円
※購入諸費用5%で計算。
最近は、金融緩和の影響もあり頭金なしで物件を購入できるケースもみられます。住宅資金にあまり余裕が無いという方は頭金なしの物件を探してみるのもいいでしょう。頭金なしの場合、住宅資金に200万円用意できれば、住宅購入の予算は以下のようになります。
住宅資金200万円÷購入諸費用5%=4,000万円
※購入諸費用5%で計算。
ただし、貯蓄の全てを住宅資金に使ってしまうと、住宅購入後の生活に不安が残ります。そのため、貯蓄額から引っ越しや家具購入といった入居費用や、万が一の病気やケガに備える生活予備費、子供の教育費や車の購入資金など将来のための貯蓄を引いた額を住宅資金にするのがいいでしょう。
【予算の決め方②】住宅ローン借入額から考える
次に、住宅ローン借入額から予算を考える方法を紹介します。
住宅ローンの借入額は返済額から逆算して考えましょう。一般的に、年収の25%が無理のない住宅ローン返済額といわれています。年収400万円の人の場合、返済額は以下のようになります。
年収400万円×25%=100万円/年
住宅ローンの返済期間の平均は30~35年です。毎年の返済額が100万円、返済期間が35年と仮定すると、借入額は以下のようになります。
ローン返済額100万円/年×35年=3,500万円
ただし、この金額には金利も含まれます。純粋に住宅を購入する際に使用できる費用を知りたいのなら、金利を除いた元金を計算する必要があります。
金利は住宅ローンのプランによって変わってくるので、元金を確認したい場合は住宅ローンのシミュレーションを使用するとスムーズです。
住宅を購入した場合、住宅ローン返済以外に管理費や固定資産税等の住居費がかかります。また、同じ年収でも家族構成やライフスタイルによって返済できる金額は異なるため、それぞれの家計に合った無理のない返済額を決めることが大切です。気になる場合、心配な場合は一度問い合わせてみましょう。
3.住宅購入の費用を抑える方法
ここでは、住宅購入の費用を抑える方法を紹介します。「もう少し出費を抑えたい…」「予算がギリギリ…」という場合に活用してみてください。
自治体の補助金制度で新築の購入がお得に?補助金制度の種類も紹介
見積もりを複数取る
見積もりを複数取れば、住宅購入の費用を抑えられるかもしれません。同じような規模、デザインの住宅でも、依頼するハウスメーカーや工務店によって提示する費用が異なる場合があるでしょう。
例えば、デザインや設計、施工を外注せず自社で行っている企業は費用が抑えられます。また、仕入れ先を厳選する、建材を有効活用するといった取り組みでコストカットしている企業もみられます。
諸費用の少ない住宅ローンを選ぶ
諸費用の少ない住宅ローンを選びましょう。
例えば、事務手数料の支払い方法は、借入金額に関わらず一定の「定額型」と借入金額によって変動する「定率型」があり、それぞれ費用が異なります。また、保証料や団信保険料も金融機関によって異なるため、比較検討が必要です。
ただし、万が一の事態に備える団信保険に関しては契約した後の変更ができないので、費用だけで選ばないようにしましょう。
住宅の費用を抑える
分譲住宅は建てる棟数が決まっており、スケールメリットで設備等建築コストが下がるので、住宅の費用を抑えられます。
また、注文住宅でも作り方次第で購入費用を抑えることができます。
どうしてもこだわりたい部分以外は、間取りやデザインをなるべくシンプルなものにしたり、システムキッチンやバスルーム、トイレ、空調といった設備のグレードを落としたり、水回りを1つにまとめたりするとコストダウンになります。
ただし、予算を気にしすぎると理想とは違った家になる可能性もあるので、事前に優先順位をつけておくことが大切です。
引っ越し費用を抑える
住宅購入後の引っ越し費用を抑えることも大切です。
複数の引っ越し業者に見積もりを取り、料金や内容を比較検討しましょう。引っ越しは時期や時間によって料金がかなり異なるので、6月・11月・1月といった閑散期を狙うのがおすすめです。
また、事前に不用品を処分して荷物の量を減らしたり、梱包を自分で行ったりすると安く抑えられます。
4.まとめ
住宅購入の相場は、注文住宅で4,455万円、分譲住宅で3,605万円です。ただし、住宅購入費には土地代が含まれているため、金額はエリアによって大きく異なります。
自分に合った住宅購入の予算がどれくらいかを判断するためには、住宅資金から考える方法と住宅ローンの借入額から考える方法があります。結婚や親の介護費用など自分のライフプランを考慮して、無理のない資金計画を立てることも大切です。 住宅の購入費用は、見積もりを複数取る、諸費用の少ない住宅ローンを選ぶ、引っ越し費用を抑えることで節約できます。「購入費用を抑えたい…」というときに活用してみましょう。