車のローンが残っていても住宅ローンは組める?併用時の注意点も解説
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マイホームを建てる際に気になるのが、住宅ローンの返済です。特に、すでに車のローンを返済している方にとって、負担なく返済が可能なのか、そもそも住宅ローンの審査が通るのかは不安に感じるポイントでしょう。
そこで、この記事では車のローンが残っている方が住宅ローンを組む際に考慮すべき重要なポイントや、ローンを併用するときの注意点について詳しく解説します。返済負担率の計算方法やシミュレーション、審査を通過しやすくするためのコツなどの情報も提供しますので、ローンの併用を検討している方はぜひ参考にしてください。
目次
1. 車のローンが残っていても住宅ローンは組める?
すでに車のローン(マイカーローン、自動車ローン)を組んでいるものの、住宅購入に向けて新たに住宅ローンを利用することを検討している方もいるでしょう。車のローンと住宅ローンは併用可能ですが、実際には債務額や返済負担率などによって、住宅ローンを新しく組めるかどうかが決まることに注意が必要です。
ここでは、車のローンと住宅ローンを併用する際に特に重要なポイントとなる「返済負担率」について詳しく解説します。
1-1. 住宅ローンと車のローンを併用する場合に鍵となる「返済負担率」
ローンにおける返済負担率(返済比率)とは、年収に占める年間のローン返済額の割合のことを指します。住宅ローンを取り扱う金融機関では、住宅ローンの融資を行う際に、収入に対してローンの返済が十分可能な計画になっているかどうかを判断する審査を実施します。返済負担率は、この審査における重要な指標として用いられています。
住宅ローンの返済負担率が高いと、年収に占める住宅ローンの年間返済額が大きくなるため、ローンの審査に通りにくくなることに注意が必要です。住宅ローン審査に通っても、月々の返済負担が大きくなる恐れがあることに留意しましょう。
一方、返済負担率が低いとローンの審査に通りやすく、ゆとりをもってローン返済を行うことが可能です。なお、理想的な返済負担率は20~25%以下とされています。住宅金融支援機構の調査でも、2023年10月から2024年3月までに住宅ローンの借入れをした方の約77%が、返済負担率を25%以下に抑えていることを押さえておきましょう。
返済負担率 | 利用者の割合 |
---|---|
10%以内 | 11.9% |
10%超~15%以内 | 19.5% |
15%超~20%以内 | 26.6% |
20%超~25%以内 | 19.4% |
25%超~30%以内 | 11.8% |
30%超~35%以内 | 4.7% |
35%超~40%以内 | 3.4% |
40%超 | 2.7% |
出典:住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査【住宅ローン利用者調査(2024年4月調査)】
また、返済負担率に基づいて借入上限額を決定する金融機関も少なくありません。住宅金融支援機構の住宅ローン「フラット35」では、年収によって返済負担率の基準が下記のように定められており、基準を超えないよう借入金額が設定されます。各金融機関が取り扱う住宅ローンでも独自の基準が設定されている場合があるため、事前に確認しておきましょう。
返済負担率の基準 | |
---|---|
年収400万円未満 | 30%以下 |
年収400万円以上 | 35%以下 |
1-2. 返済負担率の計算方法
住宅ローンを組む際に重要な指標となる返済負担率は、次のような計算式で求められます。
【返済負担率の計算方法】
返済負担率(%)=ローンの年間返済額÷年収×100
金融機関が行うローンの審査では、上記の計算式の年収として税金や社会保険料などを差し引く前の総支給額(額面収入)を採用することが一般的です。しかし、ローン審査に通過しても、返済負担率の大きさや家計の状況によっては、ローンの返済が苦しくなるケースがあることに注意しましょう。
たとえば、子どもの教育費や両親の介護費用など、将来的に家計の支出が大きくなることが予想される家庭の場合、返済負担率が大きいと家計が圧迫される恐れがあります。金利上昇リスクも考えられるため、総支給額ではなく、税金や社会保険料が差し引かれた後の手取り収入で計算し、無理のない返済計画を立てるようにしましょう。
また、自動車のローンと住宅ローンを併用する場合は、車のローンの返済額を住宅ローンの返済額に足し合わせた「返済総額」で返済負担率を考える必要があります。クレジットカードのローンや教育ローン、スマートフォンの端末代金の分割払いなどを利用している場合は、それらの返済額も含めて計算してください。
1-3. 返済負担率のシミュレーション
理想的な返済負担率は手取り収入の20~25%と言われていますが、実際にどの程度の返済額となるか、気になる方も多いでしょう。ここでは、返済負担率20%、25%の場合の年間返済額、毎月の返済額のシミュレーション、借入可能額の目安について、下記の条件をもとにして年収ごとに紹介します。なお、借入可能額を金融機関が審査する場合は、一般的に金利の上昇リスクを加味して3~4%程度の金利でも問題なく返済できる額を上限とするケースが多いため、注意しましょう。
【シミュレーションの条件】
- 返済期間…35年
- 返済方法…元利均等返済
- 借入可能額の審査金利…4.0%
- ボーナス返済はなし
- 手取り収入で算出(総支給額の80%と仮定)
【年収400万円の場合】
返済負担率 | 年間返済額 | 毎月の返済額 | 借入可能額の目安 |
---|---|---|---|
20% | 64万円 | 約5.3万円 | 約1,204万円 |
25% | 80万円 | 約6.7万円 | 約1,506万円 |
【年収500万円の場合】
返済負担率 | 年間返済額 | 毎月の返済額 | 借入可能額の目安 |
---|---|---|---|
20% | 80万円 | 約6.7万円 | 約1,506万円 |
25% | 100万円 | 約8.3万円 | 約1,882万円 |
【年収600万円の場合】
返済負担率 | 年間返済額 | 毎月の返済額 | 借入可能額の目安 |
---|---|---|---|
20% | 96万円 | 8万円 | 約1,807万円 |
25% | 120万円 | 10万円 | 約2,258万円 |
【年収700万円の場合】
返済負担率 | 年間返済額 | 毎月の返済額 | 借入可能額の目安 |
---|---|---|---|
20% | 112万円 | 約9.3万円 | 約2,108万円 |
25% | 140万円 | 約11.7万円 | 約2,635万円 |
【年収800万円の場合】
返済負担率 | 年間返済額 | 毎月の返済額 | 借入可能額の目安 |
---|---|---|---|
20% | 128万円 | 約10.7万円 | 約2,409万円 |
25% | 160万円 | 約13.3万円 | 約3,011万円 |
上記の金額はあくまで目安であり、金融機関・ローン会社やローンの内容によって、返済負担額や借入可能額は異なります。ローンを組む際には、事前にしっかりとシミュレーションし、借入希望額を考えておくことが大切です。
2. 住宅ローンと車のローンを併用する場合の注意点
車のローンが残っている場合でも住宅ローンを組むことは可能ですが、車のローンと住宅ローンを併用する際にはいくつか気を付けたいポイントがあることに注意が必要です。
ここでは、住宅ローンと車のローンを併用する際の注意点について解説します。ローンの返済負担をなるべく軽減するためにも、注意すべきポイントをしっかり押さえて対策を講じましょう。
2-1. 家計への負担に注意する
車のローンの返済中に住宅ローンを新しく借り入れることは可能ですが、家計への負担に注意し、無理のない返済計画を立てることが大切です。ローンの合計返済額が大きくなると、生活費や将来の教育費など、重要な支出に十分な予算を充てることが難しくなってしまう場合があることに注意してください。
無理のない返済計画を立てるためには、ローンの返済額だけでなく、現在の家計状況を見直すことも重要です。ローンの検討を機に、水道光熱費や通信費といった固定費の削減を検討したり、ライフプランを具体化したりするなど、家計の見直しを行いましょう。
2-2. 借り入れる金額を抑える
住宅ローンは他のローンと比べて金利が低い傾向にありますが、借り入れる金額が大きいため、返済期間が長くなりやすく、返済額や利息の負担も大きくなります。借り入れる金額をなるべく抑え、無理なく返済できる金額でローンを組むようにしましょう。
一方で、マイホームを建てるにもかかわらず、コストを抑えるために自分の希望を我慢していては、納得できる家づくりができません。コストを下げられるポイントをハウスメーカーや不動産会社の方と相談しながら、自分や家族の希望をなるべく実現できるよう工夫することが大切です。
2-3. できる限り同じ金融機関でローンを組む
車のローンと住宅ローンを併用する場合、それぞれ別の金融機関から融資を受ける方法もありますが、なるべく同じ金融機関でローンを組むこともおすすめです。
たとえば、車のローンをすでに利用している場合、その金融機関は契約者の信用履歴・収入に関する情報、健康状態などの情報をすでに把握しています。すでにローンを組んでいる金融機関であれば、信頼関係が構築されているため、住宅ローンを検討する際にも適切な融資条件を提供してくれるでしょう。
また、2つのローンの窓口を1つにまとめられるため、ローンに関する手続き・返済管理が一元化されることも大きなメリットです。返済漏れなどのミスを防ぎやすくなるでしょう。
2-4. 住宅ローンの利用を優先する
現段階で車のローンと住宅ローンのどちらも利用しておらず、返済負担率を考慮して一方のローンのみを選ぶ必要がある場合は、住宅ローンの利用を優先するとよいでしょう。
住宅ローンは金利が比較的低く、借入期間も長いため、毎月の返済負担は少なく済みます。住宅ローン控除など税制面での優遇措置もあるため、うまく活用すれば負担を大幅に低減できるでしょう。自己資金に余裕がある場合は、車の購入費用として現金を充て、住宅の購入費用の大部分にローンを充当することもおすすめです。
3. 住宅ローンの審査を通過しやすくするためのポイント
住宅ローンを利用してマイホームを購入したいと考えていても、金融機関が行う住宅ローンの審査に通過しなければ、住宅ローンの融資を受けられません。住宅ローンの審査を受ける前に、住宅ローンの審査に通過しやすくなるための対策を十分に講じておきましょう。
ここでは、住宅ローンの審査を通過しやすくするためのポイントを8つ紹介します。
3-1. 頭金・自己資金を確保する
住宅ローンの審査に通りやすくするためには、頭金となる自己資金を確保することが大切です。頭金があればその分住宅ローンの借入額が減り、金融機関側の融資リスクが低くなるため、審査に有利に働くと考えられます。頭金となる資金を形成できる能力や、返済の計画性を金融機関に示すこともできるでしょう。
頭金として用意する自己資金は、住宅購入費用の1~2割程度が目安と言われています。今までの預貯金や親族からの援助などがあれば、無理のない範囲で活用するとよいでしょう。他のローンを組んで資金を用意することは、ローンの審査に不利に働く恐れがあるため避けてください。
3-2. 十分な収入があることを証明する
十分な収入や資産があり、ローン申込者が十分な支払い能力・返済能力を持つことを証明することも、住宅ローンの審査を通りやすくするポイントの1つです。給与明細や源泉徴収票、確定申告書の控えなどの書類を提出し、本業や副業による収入が十分にあることを金融機関にアピールしましょう。
なお、収入だけでは不安な場合は、不動産など自身が所有する資産を提示しても構いません。就職・転職したばかりで収入が上がっていない場合は、数年待って十分な収入を得られるようになってから住宅ローンの審査を受けることも1つの方法です。
3-3. 転職・退職を控える
住宅ローンの審査では、勤続年数も重要な指標の1つとなるため、転職・退職を控えることも大切です。特に短い期間で転職を複数回繰り返している方や、就職・転職したばかりの方は、収入の安定性が確保できないため住宅ローンの融資を受けられない可能性があります。転職・退職を予定している場合は、審査の通過後になるよう調整しましょう。
就職・転職後に住宅ローンの審査を受ける場合は、1年以上の勤続実績を得てから申し込むと、就職・転職直後よりも審査を通過する可能性が高いと考えられます。一方で、アルバイトやパート従業員の場合は、勤続年数が長くても審査を通過できない可能性があることに注意してください。
3-4. 現在組んでいる他のローンの返済を済ませる
車のローンなど、住宅ローン以外のローンをすでに組んでいる場合は、現在利用しているローンの返済を済ませておくとよいでしょう。複数のローンを利用している状態は金融機関側にとっての融資リスクとなるため、住宅ローンの審査に落ちやすくなってしまいます。住宅購入・住宅完成までになるべく完済できるよう、返済計画を検討してみましょう。
現在利用しているローンをすべて返済するのが難しい場合、少しでもローン残高を減らして返済状況を改善するよう対策を講じることが大切です。繰り上げ返済も視野に入れ、住宅ローンの審査を受ける時点での借入額をなるべく減らしておきましょう。
3-5. 保証人を立てる
住宅ローンや車のローンの場合、「借入額が大きい」「収入が不安定」などの要素がなければ、契約の際に保証人を立てる必要がないケースも珍しくありません。しかし、ローンの審査が通るかどうか心配な方は、念のために保証人を立てておくことをおすすめします。
保証人はローンの申込者と同様に審査を受ける必要があります。経済状況やローンの利用状況、信用情報なども借入先に提供することになるため、金銭的・社会的な信頼度が高い方に保証人になってもらえるよう相談するとよいでしょう。
3-6. 共同借入・連帯債務を検討する
希望する借入額が大きく、審査に通るか不安な場合は、夫婦や親子の収入を合算して住宅ローンを組むことを検討してみるとよいでしょう。家族複数人の年収でローンの審査を受けられるため、単独債務でローンを申し込んだ場合よりも、審査に通過する可能性が高まります。
夫婦共働きの場合は夫婦それぞれの名義で住宅ローンを組む「ペアローン」も利用可能です。また、連帯債務や連帯保証といった制度を利用し、夫婦で1つの住宅ローンを組むこともできるため、各家庭の状況に応じたローンの組み方を検討してみましょう。
3-7. フラット35の利用を検討する
フラット35とは、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供している住宅ローンのことです。フラット35の審査では、長期優良住宅や低炭素住宅など環境に配慮した住宅を購入する場合に、審査や金利面で優遇される措置がされます。
また、民間の住宅ローンと比べて、保証人や保証料、繰上返済の手数料が必要なく、年収や勤続年数、職業といった信用情報面での基準がゆるやかだと言われています。通常のローンの審査では通過しにくいと考えられる場合は、フラット35の利用を検討するとよいでしょう。
3-8. ファイナンシャルプランナーに相談する
住宅ローンの申込を行う前に、お金に関する幅広い知識をもつファイナンシャルプランナーに相談することもおすすめです。家計やライフプランの専門家からアドバイスを受け、家計や借入状況の見直しと整理を行い、家庭の経済状況の改善を図りましょう。
また、自分の家庭に合った住宅ローン返済額、返済プランについてのアドバイスをもらえることも、ファイナンシャルプランナーに相談するメリットの1つです。審査に通りやすく、さらに無理なく返済できる内容のローンを選ぶようにしましょう。
4. 住宅ローンと車のローンはまとめられる?
住宅ローンと車のローンは併用可能であり、同じ金融機関が融資する住宅ローンと車のローンを同時に利用することも可能です。しかし、住宅ローンと車のローンを一本化して1つのローンにまとめることは、基本的にはできない点に注意しましょう。
住宅ローンは住宅購入を目的として利用するローンであり、住宅が担保となるため比較的低い金利で融資を受けられます。車のローンの金利よりも低いケースが多いため、住宅ローンの借入金を車の購入費用に充てたいと考える方もいるでしょう。
しかし、住宅ローンや車のローンの場合、目的外の利用は契約違反となります。最悪の場合はローンの一括返済を求められる事態に発展しかねません。どうしても1つのローンにまとめたい場合は、金融機関が提供する多目的ローン・まとめローンを利用する方法もありますが、金利が高くなる傾向があることに注意しましょう。
ただし、すでに組んでいる車のローンと同じ金融機関で住宅ローンの申込を行えば、金利優遇などの特典を受けられる場合があります。融資を受けている金融機関のローン商品を確認し、利用できる制度がないかチェックしておきましょう。
まとめ
車のローンが残っていても住宅ローンを組むことは可能です。しかし、ローンを併用する場合は、返済できる額が減るため、ローンの審査が通らない場合や、借入可能額が減る可能性がある点に注意しましょう。頭金の準備や収入の証明、他のローンの完済など、事前にできることは積極的に行いつつ、返済負担率や家計への影響を十分に考慮し、無理のない返済計画を立てるのが重要です。
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