引き戸と開き戸、部屋の扉はどちらを選ぶ?メリットデメリット解説
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「注文住宅を建てる」となると、決めなくちゃいけないことがたくさん。
一般的な仕様でもいいかな? なんて思っても、どうせなら“わが家”にフィットした設備や仕様にしたい! と感じる方も多いと思います。
選べる設備、これまで気にしたこともなかったけれど、言われてみたらどれがいいんだろう?
そんなお悩みをかかえている方は必見!
今回はそんな「言われてみたら悩む2択」のなかから、「室内ドアを開き戸にするか引き戸にするか」についてピックアップしました。
それぞれのメリットデメリットをご紹介します!
引き戸とはこんなタイプの扉です
「廊下と個室」ではなく、田の字型に和室があった昔ながらの日本家屋で部屋と部屋を間仕切りしていたのは「ふすま」でした。そのふすまのように、戸を「開放」しておけるのが開き戸です。
戸が1枚だけの引き戸を「片引き戸」、ふすまのように2枚以上の引き戸があるものを「引き違い戸」、戸袋(とぶくろ)と呼ばれる収納できるスペースがあるものを「引き込み戸」といいます。
引き戸のメリット
- 全部開放することも、5cmだけ開けておくことも自由
引き戸最大のメリットといってもいいのが、採光や通風の調整がしやすいこと。
たとえば「隣の部屋にお昼寝中の子どもが目を覚ましたらすぐに気が付くように、5cmだけ戸を開けておきたい」といった場合も調整簡単です。
- ふすまと同じように、部屋をひと続きに使うこともできる
開き戸では難しい「間仕切りと扉の役割をその時々で入れ替える」ことができます。普段は二間続きのリビングのいちコーナーとして、お客様が来たら引き戸を閉めて客間に……といったフレキシブルな使い方にピッタリです。
- 指を挟んでしまう事故がおきにくい
小さなお子さんがいるご家庭で特に注意していただきたいのが「ドアに指を挟んでしまう事故」です。
引き戸の場合、この事故が起こることがほとんどありません。
引き戸のデメリット
- 鍵がつけにくく、バリエーションが限られる
引き戸にも鍵のついたタイプはありますが、種類が少なく割高です。
個室などで将来的に鍵をつける予定がある場合、傷をつけずに鍵を取り付けるのは難しくなります。
- 隙間をふさぐことが難しいため、音や光漏れがおこりやすい
引き戸には扉の周りに隙間ができます。冬の寒い時期の隙間風や、真っ暗な状態にしたときの光の漏れが気になりやすくなります。
- 戸を引き込むスペースが必要になる
引き戸は戸を開けたときに扉を引き込むスペースが必要になります。扉がスライドする場所にはコンセントやスイッチを設置することができません。
また、引き込み戸の場合は壁の中に扉を収納することになりますが、その場合戸袋の中の掃除に手間がかかります。
- 意外と大きな音がする
「そーっと」閉めれば開き戸よりも静かな引き戸ですが、子どものように力任せに「スパーン」と開けてしまうと意外なほど大きな音になります。
- 引き込み部分にモノが挟まってあかなくなることがある
扉を閉めている間、引き込み部分に大きなものが倒れこんでしまい、「つっかえ棒」のようになってしまって引き戸が空かなくなってしまった……という失敗が起こるかもしれません。
引き戸の周りには大きくて重いものは置かないほうが無難です。
開き戸とはこんなタイプの扉です
蝶番やドアクローザーといった部品で戸の片側を軸にして前後に開閉するタイプの扉が開き戸です。
室内ドアの場合、多くは扉が1枚の「片開き」、玄関ドアなど場合によって大きく開口部を開けたいドアで扉を2枚使う「両開き」の2種類があります。
ドアを廊下から部屋のなかに向かって「押す」ように開けるタイプを「内開き」、家のトイレのように廊下側にひくように開けるタイプを「外開き」といいます。
開き戸のメリット
- デザインや種類、価格帯が豊富
実際に取り付けられる「数」が多いのが開き戸です。デザインや材質、価格帯の幅が広く好みのタイプを選ぶことができます。
- 防音性が高い扉など、機能的な扉もある
防音室や暗室を作りたいなら開き戸を選択しましょう。機能的な役割がある扉は、隙間ができてしまう構造の引き戸ではほとんど作ることができません。
- ペット用ドアをつけたいなら開き戸
室内犬や猫と一緒に快適に生活するためにペット用のドアをつけたいなら開き戸になります。
開き戸のデメリット
- 風通しを確保しておきたい場所には向かない
開き戸は「風」に弱い構造です。強い風が吹くとバタン! と大きな音で扉が閉まってしまいます。
- 手が不自由になると開けにくい
ドアノブにもさまざまなタイプがありますが、手を怪我してしまうなど不自由な状態ではドアの開閉に不便を感じることがあります。実際、病院では引き戸が多く採用されています。
- ドアを開閉するためのスペースを確保しなければならない
弧を描くようにドアを開閉するため、内開きでも外開きでも一定のスペースが必要です。また、ドアの外に人がいる場合、ぶつけてしまう危険もあります。
希望は伝えつつ、プロの設計士さんの意見を聞こう!
デザイン的な好みを優先するか、機能性を優先するか、すべての条件が満足できる選択肢は意外と少ないもの。
とはいえ、理解していたか、「住んでみてから初めて気が付いた!! 」かは、“失敗した感じ”がまったく違います。
引き戸か開き戸かの「好みの希望」は伝えつつ、プロならではの「設計士から見てオススメの理由」はしっかり確認しておきましょう!