木造・軽量鉄骨造の防音性は?それぞれの特徴や音漏れ対策などを解説
防音性は住宅選びにおいて非常に重要な要素です。特に木造住宅や軽量鉄骨造住宅では、音漏れや騒音が問題となることがよくあります。
木造住宅は、その温かみや設計の自由度が魅力ですが、通気性が高いため音が漏れやすいという点が難点です。一方、軽量鉄骨造住宅は耐震性に優れており、品質が安定しているものの、防音性や断熱性に課題が残ります。
当記事では、木造・軽量鉄骨造それぞれの住宅構造の防音性について詳しく解説します。実践的な音漏れ対策も紹介するため、住宅の防音性を重視したい方はぜひ参考にしてください。
目次
1.木造の特徴
木造とは、建物の主要構造部を木材で作った建築物です。柱や梁、土台などの骨格を木材で構成するため、古くから日本の住宅で広く利用されてきました。現在でも日本の住宅の約8割を木造住宅が占めています。
木造住宅の主なメリットとデメリットは以下の通りです。
木造のメリット | 木造のデメリット |
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木造住宅は、鉄骨や鉄筋コンクリート造に比べて建材が安価で加工しやすいため、建築費用を抑えやすくリフォームや増改築も比較的簡単に行えます。また、木材は熱伝導率が低く断熱性が高いため、季節に応じた快適な住まい環境を保ちやすい点も魅力です。
一方で、木造住宅は鉄骨造住宅よりも耐用年数や耐久性に劣る傾向にあり、地震に対する耐震性も劣ると言われています。また、施工の品質は職人の腕に依存しやすく、ばらつきが生じることがあるのもデメリットです。
1-1.木造の防音性
木造住宅は、通気性がよい分、音が隙間から伝わりやすい特性があります。また、木材は振動を伝えやすく、鉄筋コンクリート造に比べて構造が薄いため、音漏れしやすいのも特徴の1つです。例えば、木造アパートでは、深夜の話し声やお風呂の音、テレビの音などが騒音トラブルの原因になることがあります。
しかし、すべての木造住宅が遮音性に欠けるわけではありません。壁や床の遮音性に配慮した設計や、間取りの工夫によって騒音リスクは軽減できます。建築技術の向上により、近年の木造住宅は「高気密・高断熱」が特徴です。高気密の住宅は隙間が少なく、断熱材の充填も防音効果が得られるため、従来の木造住宅に比べて防音性・遮音性が向上しています。
このように、現代の木造住宅は適切な防音対策を講じれば、快適な居住空間を確保可能です。
2.軽量鉄骨造の特徴
軽量鉄骨造とは、厚みが6mm未満の鋼材で骨組みした建築構造です。主にアパートや低層マンションに採用されることが多く、構造の自由度が高い点が特徴です。一般的に、鋼材を工場で大量生産し、現場に搬入して組み立てるプレハブ工法が使われます。
軽量鉄骨造の主なメリットとデメリットは、以下の通りです。
軽量鉄骨造のメリット | 軽量鉄骨造のデメリット |
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軽量鉄骨造の大きなメリットは、木造よりも強度が高いことです。鋼材を使用することで、地震による揺れに強く、倒壊のリスクが低くなります。また、工場で規格通りに生産されるため、品質が安定しています。害虫問題が起こりにくく、建築コストを抑えやすい点も魅力です。
一方で、軽量鉄骨造には断熱性と通気性が低いというデメリットがあります。さらに、防音性もさほど高くはありません。冬は寒く、夏は暑くなりやすいためエアコンの使用頻度が増えるなど、生活環境によっては不満が残る場合もあります。
2-1.軽量鉄骨造の防音性
建物の防音性は、壁や床の厚み、密度に大きく左右されます。壁や床の造りが同程度であれば、防音性に大きな差はありません。
例えば、壁や床が薄く、密度が低い場合は、軽量鉄骨造でも木造のように生活音や外部の音が聞こえやすくなります。軽量鉄骨造は木造に比べて遮音性がやや高いものの、鉄筋コンクリート造(RC造)ほどの効果は期待できません。
鉄筋コンクリート造は、コンクリートで壁や床を厚く固める製法です。コンクリート素材の高密度な構造は音を通しにくく、外部からの音を遮る「遮音」性能と室内の音を外部に伝えない「吸音」性能の両方を兼ね備えています。
軽量鉄骨造でも適切な防音対策を講じれば、ある程度の音漏れ防止は可能です。ただし、防音性を重視するならば、軽量鉄骨造よりも鉄筋コンクリート造を選ぶほうが安心できるでしょう。
3.住宅における防音対策
住宅において防音対策は非常に重要です。外部の騒音を遮断し、室内の音が周囲に漏れないようにすれば、快適な生活環境を保てる可能性が高まります。賃貸や集合住宅などでは建物自体に手を加えるのは難しいものの、簡単な工夫を凝らすだけで防音性を高めることは可能です。
以下では、入居後に手軽にできる防音対策を3つ紹介します。
3-1.カーペットやマットを敷く
床にカーペットやマットを敷くのは、防音対策の基本です。カーペットやマットを使用すると、階下への音の伝わりを防ぎつつ、足音や物を落とした際の振動も軽減できます。子どもがいる家庭や、ペットを飼っている家庭には効果的な方法です。
カーペットやマットは、厚みがあるものほど高い防音効果を得られます。マットを敷いた上にカーペットを敷くと、なおよいでしょう。さらに、クッション性のあるスリッパを併用すると、より生活音を軽減できます。ピアノなど、床に直接音や振動が伝わる楽器を使用する場合は、専用の防音マットを敷くのもおすすめです。
また、家具の移動音や椅子を引く音を抑えるためには、家具の脚にフェルトパッドを取りつけるのも有効です。これにより、床から音が発生するストレスを大幅に減らせます。
3-2.防音シートや防音カーテンを採用する
壁や窓に防音シートや防音カーテンを取りつけるのも効果的な防音対策です。防音シートは、隣の部屋や外部からの音を遮断しつつ、室内の音が周りに漏れるのを防げます。特に、壁が薄い物件や防音性に不安がある場合には、防音シートを貼ると騒音を大幅に軽減できるでしょう。吸音パネルの併用もおすすめです。賃貸の場合は撤去しやすいタイプを選ぶと、退居時のクリーニング代が高騰しません。
また、厚めのカーテンは、窓からの音漏れを防ぐために非常に有効です。特に、交通量の多い道路沿いや繁華街に住んでいる場合には、防音カーテンを採用すると快適な生活環境を維持できます。レースカーテンも併用するとよいでしょう。可能であれば、内窓を取りつけて二重にすると、防音性に加えて耐熱性も上がります。
ほかにも、隙間テープや吸音パネル、パーティションといったアイテムも防音対策として効果的です。
隙間テープ | ドアや窓の隙間を埋めることで音漏れを防ぐ簡単な方法です。ドアとドア枠の間の隙間に貼れば、騒音や音漏れの軽減に効果があります。 |
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吸音パネル | 室内の音を吸収し、外部への音漏れを防ぐ優れた防音アイテムです。壁に取り付けるタイプや、テレワークスペースとしてデスク周りに設置するタイプなどがあります。設置も簡単で、デザイン性の高いものも多く、インテリアに合わせて選べます。 |
パーティション | 吸音材を使用しており、部屋の一部を区切って防音効果を高められます。特に、テレワークや勉強スペースとして利用すると効果的です。折りたたみ式で、必要な時だけ設置できるタイプもあり、使い勝手が良いのが特徴です。 |
上記のアイテムを組み合わせて使用すれば、より高い防音効果を得ることができます。自分の住環境に合わせて、適切な防音対策を取り入れてください。
3-3.本棚やクローゼットを壁面に設置する
壁面に背の高い本棚やクローゼットを設置するのも、効果的な防音対策です。家具を壁に沿って配置することで、壁の厚みが増し、音や振動が伝わりにくくなります。また、生活スペースが壁から離れるため、隣室からの騒音を感じにくくなるでしょう。新しい家具を購入せず、既存の家具の位置を隣接する壁に移動させるだけでも、効果は十分です。
クローゼットや本棚の中に服や本を詰めると吸音材の役割も果たすため、遮音と吸音のダブル効果が期待できます。防音効果を高めるには、家具の背面に防音シートを追加するのもおすすめです。ただし、大きな地震の際に倒れるリスクがあるため、突っ張り棒などで転倒防止対策を行いましょう。
防音性を高めるリノベーションをする場合は、以下の方法もおすすめです
防音ガラスの設置 |
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2枚以上のガラスで特殊中間膜を挟んだ合わせガラスは、振動を熱に変換して音の波を消滅させ、音を軽減します。窓のサッシも確認し、隙間がないようにしましょう。 |
内窓(二重窓)の設置 |
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窓の内側にもう1つ窓を取り付けることで、騒音を大幅に軽減し、断熱性も向上させます。これにより、結露対策にもなります。 |
上記の方法を組み合わせて防音効果を最大限に高めることができれば、快適かつ安心して日々の生活を送れるでしょう。
まとめ
木造住宅と軽量鉄骨造住宅には、それぞれ異なる特徴と防音性があります。木造住宅は、断熱性や設計の自由度が高く、リフォームしやすい一方で、音漏れしやすいという課題があります。軽量鉄骨造住宅は、耐震性が高く、品質が安定しているものの、断熱性や防音性に欠けることが多いです。
しかし、適切な防音対策を講じれば、どちらの住宅でも快適な居住空間を確保できます。具体的な対策としては、カーペットや防音シート、防音カーテンの使用、家具の配置の工夫などがあります。これらの対策を参考に、自分に合った静かな住まいを実現しましょう。