建売住宅・注文住宅の寿命の長さはどのくらい?延ばす方法を紹介
住宅は、雨風から人々の生活を守ってくれる分、経年によって徐々に劣化します。住宅に寿命が訪れれば、改修工事や転居を検討しなくてはなりません。では、一般的な住宅の寿命の長さはどのくらいなのでしょうか。
当記事では、建売住宅・注文住宅の寿命の長さや耐用年数との関係性を紹介するとともに、住宅の寿命を延ばす方法を解説します。さらに寿命を延ばすために必要なメンテナンスの具体的な内容・時期についても確認しましょう。
目次
1.建売住宅と注文住宅の寿命の長さはどのくらい?
住宅の寿命の長さは、木造の法定耐用年数が22年である点から一般的に20~30年と考えられています。日々の清掃やメンテナンスをきちんと行っていれば、30年以上住み続けることも可能です。
また、日本住宅性能表示基準の劣化対策等級では、等級1は25~30年、等級2は50~60年、等級3は75~90年の間、メンテナンスを施しながら住めるとしています。
住宅構造や建物の性能によって差は生じるものの、適切なメンテナンスとともに30年、40年、50年と長い期間住み続けられるでしょう。
【住宅の法定耐用年数】
構造 | 耐用年数 | |
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木造・合成樹脂造 | 22年 | |
木骨モルタル造 | 20年 | |
鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造 | 47年 | |
れんが造・石造・ブロック造 | 38年 | |
金属造 | 骨格材の肉厚4mm超 | 34年 |
骨格材の肉厚3mm超、4mm以下 | 27年 | |
骨格材の肉厚3mm以下 | 19年 |
1-1.寿命と耐用年数はイコールではない
法定耐用年数は住宅の寿命を測る目安になるとは言え、必ずしも寿命を表すわけではありません。適切なメンテナンスを行っていれば、住宅の寿命は法定耐用年数よりも長くなります。
本来、法定耐用年数は固定資産税のような不動産にかかる税金の課税額の算出に用いられます。木造の法定耐用年数22年というのは、建物としての資産価値がある期間のことです。住宅自体が住める状態か否かを測る指数ではないため、法定耐用年数を超えても住み続けられる住宅はたくさんあります。
実際に築年数が長い物件をリノベーションして売り出すケースも多く、30年、40年と法定耐用年数を超えた住宅であっても快適に住むことが可能です。
1-2.建売住宅と注文住宅の寿命の長さに違いはない
みなさんの中には「建売住宅と注文住宅で寿命が異なるのでは」と考える方もいるのではないでしょうか。しかし、建売住宅と注文住宅で寿命の長さはほとんど変わりません。
寿命に違いが生じない理由は、以下の2つがあります。
どちらも建築基準法によって建てられている |
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新築は、建て方に関わらず建築基準法に則って建築しなければなりません。建築基準法では、耐震性能や耐久性など一定基準が定められていて、施工後に満たしているかの検査があります。建売住宅も注文住宅も同様の基準で建てられているため、大きな寿命の違いは生じません。 |
どちらも住宅品確法で品質が保証されている |
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建売住宅と注文住宅のどちらも、住宅品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)によって10年間の品質保証が付いています。住宅品確法とは、住宅の品質を保つための法律です。住宅の引き渡し後に欠陥が見つかった場合、10年以内であれば売主は無償で補修しなければなりません。同基準で住宅品質が保証されているということは、建てる際に耐久性の面で差はつかないと考えられます。 |
上記2つの理由から、住宅寿命の長さを見る際は建売住宅と注文住宅で分けて考える必要はないと言えます。
2.住宅の寿命を延ばす方法
住宅は、住み方によって寿命を伸ばすことが可能です。日頃から家が傷まないように心がければ、愛着のあるマイホームに長く住み続けられるでしょう。
ここでは、住宅の寿命を延ばす方法を3つ紹介します。
2-1.こまめな清掃・換気を心がける
住宅の寿命を伸ばす方法としてまず大切なのは、毎日の清掃と空気の入れ替えです。家の中だけでなく外側もこまめに掃除するなら、わずかな異変にもすぐに気づいて対処できます。
住宅の不具合は、対処が遅れるほど補修が困難になりやすく、早期対処は住宅を長持ちさせる秘訣です。掃除をしながら、外壁の割れや雨どいのつまり、雨漏れ、配管の水漏れなど住宅の劣化につながりやすいトラブルがないかチェックしましょう。
また換気が行われないと、室内の空気が入れ替わらず湿気がこもってしまいます。カビや木造部分の痛みの原因となるため、定期的な換気を心がけてください。
2-2.定期点検で不具合を早期発見する
日常的なセルフチェックに加えて、専門家による定期点検で不具合がないか確認しましょう。自分で見るだけでは、問題のある部分を見過ごしてしまう可能性があります。傷み具合がどれほど大きな損傷につながるのか、住宅に関する知識がなければ判断が難しいでしょう。専門家に依頼すれば、予期せぬ問題や不具合をまだ小さなうちに発見することが可能です。
天井裏や床下など、一般の方では点検が難しい場所もあります。屋根の点検は、不慣れな方が行うのは危険が伴い、セルフチェックではカバーできない部分です。安全に点検を実施して、家の損傷に早く気づくためにも、専門家による定期点検が欠かせません。また、住宅品確法による保証期間が切れる前に、保証対象の不具合がないか再度チェックするとよいでしょう。
2-3.メンテナンスを実施する
住宅の寿命を延ばすためには、メンテナンスの実施が不可欠です。高性能の設備を備えたきれいな新築住宅も、年数が経てば設備は古くなり住宅の劣化が生じます。
例えば、木造住宅であればシロアリ被害の恐れがあります。前もって防蟻対策しておかないと、住宅が丸ごとダメになる可能性も否定できません。また、外壁にひび割れがあると、雨水が壁の中に浸みて住宅を痛めてしまいます。トイレや洗面といった水回りも、年月とともに劣化して水漏れ・カビなどにつながります。こうした住宅のトラブルを防ぐには、必要なタイミングで補修工事を行うことが重要です。
メンテナンスにはある程度の手間とコストがかかるため、実施するのをためらってしまう方は少なくありません。毎日の生活に大きな支障がなければ、メンテナンスの必要性を感じないこともあるでしょう。
しかし、メンテナンスは家の安全性を高め、大きな問題を避けるために必要なものです。補修費用を考えて資金計画を立て、こまめなメンテナンスを施して家の寿命を延ばしましょう。
3.寿命を延ばすために必要なメンテナンスの内容と時期
住宅のメンテナンスは、具体的にどのタイミングで行う必要があるのでしょうか。寿命を延ばすことにつながる住宅メンテナンスと一般的な時期は、下表の通りです。
メンテナンス項目 | メンテナンス内容 | メンテナンス時期の目安 |
---|---|---|
外壁・屋根 |
| 10年に1回 |
設備機器の更新 | 給排水管やトイレ、洗面、浴室、給湯器など水回り設備の交換やリフォーム | 築10~15年程度 |
雨漏り箇所の修繕 |
| 10年保証の期間中 |
防蟻処理(シロアリ対策) | 床下の点検、薬剤による防蟻処理の実施 | 5年に1回 |
外壁や屋根の塗装は、紫外線や雨風によって劣化しやすい部分です。塗装は、外観のためだけではなく防水性を高め、雨による浸水を防ぐ役割があります。屋根材が浮いていたり、ひびが入ったりしているなら修繕の計画が必要です。
屋根塗装にかかるメンテナンス費用は40万~50万円、外壁塗装は60万~80万円ほどが目安です。大きな出費にはなりますが、住宅を長持ちさせるには10年に1回の頻度を目安にメンテナンスを実施するとよいでしょう。
また、水回りの設備は10~15年で劣化するため、劣化しているものから順に交換していくことをおすすめします。給湯機は15年ほどが交換目安となっているケースが多く、故障する前に交換するようにします。
木造住宅は、水漏れのダメージやシロアリの被害を受けやすく、メンテナンスが寿命を大きく左右すると言っても過言ではありません。建ててから10年経つと必要なメンテナンスが増えるため、負担も大きくなっていきます。しかし、メンテナンスをきちんと行うと、損傷がひどくなる前に対処でき、結果的に費用も労力も少なく済むでしょう。
アイダ設計ではアフターサービスとして35年保証を行っており、下記の図のようにメンテナンスを行っております。
まとめ
建売住宅と注文住宅では、寿命の長さに大きな違いはありません。いずれも法定耐用年数を基準に考えると、木造の場合で約20~30年が寿命と言われています。実際の寿命の長さは、住宅構造や建物の性能によって異なるものの、日頃から清掃・換気を徹底すればその分寿命を延ばすことが可能です。
また、清掃・換気だけでなく専門家に定期点検を依頼して、問題・不具合がまだ小さなうちに早期発見できれば、その分早めに対処でき寿命の延長につながります。愛着の湧いたマイホームにできるだけ長く住み続けるためにも、適切なタイミングでメンテナンスを実施しましょう。