家を買うタイミングは?購入を考えるきっかけや社会情勢について解説
家の購入は、人生の中でも大きな決断の1つであり、いつ購入すべきか、どのタイミングが最適なのかを慎重に検討する必要があります。家族のライフステージや収入、さらには社会情勢の影響にも注意して、住宅購入のタイミングを考えましょう。
当記事では、家の購入を考えるタイミングとしてよく挙げられるライフイベントや、社会情勢が住宅価格やローンに与える影響について解説します。これから家を購入しようと考えている方はぜひ参考にしてください。
目次
1. 家の購入時期は?
国土交通省住宅局が公表している「令和5年度住宅市場動向報告書」によると、家を購入した際の世帯主の年齢割合は、以下の通りです。
30歳未満 | 30歳代 | 40歳代 | 50歳代 | 60歳以上 | |
---|---|---|---|---|---|
注文住宅 | 10.1 | 36.7 | 21.6 | 10.5 | 20.4 |
分譲戸建住宅 | 13.5 | 48.0 | 26.4 | 5.1 | – |
※注文住宅の調査地域は全国、その他住宅は三大都市圏での調査(単位%)
注文住宅・分譲戸建住宅ともに、住宅購入時の世帯主年齢は、30歳代の割合が最も多い傾向です。分譲戸建住宅の場合は、30歳代が48.0%と5割近くにのぼり、40歳代が26.4%と続いています。
注文住宅では30歳代が36.7%、40歳代が21.6%と、同じく40歳代までの割合が高くなっています。ただし、注文住宅の場合は、60歳以上も20.4%と2割以上にのぼる点が特徴的です。
また、以下は世帯年収から見た家の購入時期を示した表です。
住宅の種類 | 平均世帯年収(税込) |
---|---|
注文住宅(全国) | 915万円 |
注文住宅(三大都市圏) | 989万円 |
分譲戸建住宅 | 761万円 |
住宅購入時の世帯平均年収は注文住宅(三大都市圏)が最も高く、注文住宅(全国)、分譲戸建住宅の順に続きます。
2. 家の購入を考えるタイミング
住宅購入を検討するケースとして多いのが、ライフステージに変化があるときです。家を買うタイミングとして挙げられるライフイベントを具体的に紹介するため、自分の状況に合った購入時期を検討する際の参考にしてください。
2-1. 結婚したとき
結婚は、住宅購入の検討に適したタイミングです。実際に、結婚式や新婚旅行などが落ち着いたタイミングで、家の購入を考え始める人は少なくありません。住宅を購入すると、賃貸とは異なり家賃を払い続ける必要がなく、持ち家として自分たちの資産にできる点がメリットです。また、ローンを組む年齢が若いほど完済時期も早くなるため、老後の不安も軽減できます。
最近では、貯金額や用意できる自己資金が少なくても、ローンを組める金融商品が増えています。転勤や転職などの予定がない場合は、結婚時に夫婦でライフプランについて話し合い、住宅購入に向けて動き出すのも1つの方法です。
2-2. 子どもが生まれたとき
子どもが生まれたタイミングも、家の購入をイメージしやすい時期です。家族が増えたタイミングで家の購入を考えると、子どもの人数を考慮した間取りや育児に適した住まいが選べます。また、戸建住宅はマンションやアパートと違い、足音や子どもの声などの生活音を過度に気にする必要がなくなる点も子育てにおいてはメリットになります。
子育て世帯は「学校や医療機関などの施設が近い」「治安が良い」といった周辺エリアの条件も重視して住宅を選ぶとよいでしょう。子どもと過ごしやすい環境を重視して家の購入を考えるため、結果として、資産価値が下がりにくい物件に出会える点がメリットです。
2-3. 老後に備えるとき
子育てが落ち着いたタイミングや、定年退職を迎えた時期に、老後への備えとして住宅購入を検討するケースも見られます。近年では終活の考え方が広く浸透しつつあり、元気なうちに身の回りを整理しようと、よりコンパクトな住まいに住み替える方も増えています。
ただし、多くの金融機関では、住宅ローンの完済年齢に制限が設けられています。一般的には、年齢が上がるほど住宅ローン審査が厳しくなるため、注意しましょう。将来の収入変化や役職定年なども考慮しながら、しっかりと資金計画を立てた上で、住宅購入を検討すると安心です。
3. 家を買う際に気をつけたい社会情勢
家を買うときの金額は、社会情勢の影響を受けて変動する場合があります。気をつけておきたい社会情勢として、次の2つを紹介します。マイホームの購入時期を見極める際の判断材料として役立ててください。
3-1. ウッドショック
ウッドショックとは、木材不足によって木材価格が高騰し、混乱が生じている状態を指します。2021年初頭には「第三次ウッドショック」が始まり、数か月のうちに木材価格が2倍以上に高騰しました。
第三次ウッドショックは、以下のような複数の要因が重なって発生したと考えられています。
- 米国での新築住宅需要の増加、木材相場の変動
- 中国やヨーロッパ諸国における木材需要の拡大
- 新型感染症の影響による輸送コンテナの取り扱い減少
- ロシアからの輸入制限など
上記の影響で日本においても木材供給量が大きく減少し、木材価格が高騰したり、住宅用木材の調達自体が困難になったりする混乱が生じました。
2024年時点で木材不足や価格高騰などの影響は緩和しているものの、住宅価格は上記のような世界情勢の影響を受けて変動するため、注意が必要です。
3-2. 住宅ローンの金利
金利の変動は、ローン返済額や返済期間に影響を及ぼすため、金融政策の動向・物価の行方などにも注意しましょう。
住宅ローンの金利は、変動金利と固定金利の2種類があります。2024年7月に日銀が政策金利の利上げを決定したことで、2024年10月には一部の金融機関において、変動金利の利率が引き上げられています。さらに、2024年7月には、長期国債買入れの減額計画も決定しました。
買入れ減額計画が実行されると、国債需要が減り、国債価格の減少につながります。国際価格が減少すると利回りが上昇に転じるため、長期金利の上昇が考えられ、長期金利などをもとに決定される固定金利も上がる可能性があります。
金利上昇への対策としては、住宅購入者自身で繰上げ返済用の資金を用意しておいたり、ローンの借り換えを検討したりする方法が有効です。
4. 早めのタイミングで家を買うメリット
家は早めの購入するのがおすすめです。早めのタイミングで家を買うメリットとしては、以下の4つが挙げられます。
- ローンの審査に通りやすい
住宅ローン審査では返済能力の有無を判断するために、収入状況や資産に加えてローン完済時の年齢、健康状態といった項目も重視されます。なるべく若く健康なうちにマイホーム購入を済ませると、住宅ローン審査で有利になりやすいのがメリットです。病気を患うと、健康状態を理由にローンが組めなくなる場合もあるため、収入面・健康面ともに安定しやすい30歳代で住宅購入を決断する人が少なくありません。 - ゆとりのある返済ができる
住宅ローンでは、申込時や完済時の年齢条件・最長の返済期間が決められている場合がほとんどです。具体的には、多くの金融機関で最長返済期間が35年、完済時の年齢上限は80歳とされています。また、最近では最長返済期間を40年、50年と設定できるローンも登場しました。若いうちにローンを組むと、返済期間を長く設定できるため、月々の費用負担を抑えてゆとりある返済計画が立てられるのも利点です。 - マイホームで長く過ごせる
早いタイミングで家を買うと、家族とともにマイホームで長く過ごせる点がメリットです。家族構成や生活スタイルに合った家を検討することで、長い間快適に過ごせます。子どもが小さいうちから、マイホームでたくさんの思い出が作れるのも嬉しいポイントです。 - 住宅ローンの金利が低い
金利が上昇しないうちに家を購入すると、お得に住宅が取得できる点もメリットです。近年は住宅ローンの低金利時代が続いてきました。ただし、マイナス金利政策の解除によって、今後は緩やかな金利上昇が見込まれています。物件価格自体も上昇傾向にあるため、購入時期を遅らせるほど、住宅取得費用が高くなる恐れがあります。
まとめ
家の購入のタイミングを考える際は、ライフステージや社会情勢を考慮に入れましょう。特に、結婚や子どもの誕生といったライフイベントは、家の購入を検討する大きなきっかけです。ライフスタイルの変化に合わせて住宅を考えることで、家族構成や将来の生活プランを考慮できます。
早めのタイミングで家を購入すると、ローン審査が通りやすく、ゆとりのある返済計画を立てることができるというメリットもあります。住宅購入は早めに行うとよいことを念頭に置きながら、自分にとって最適な時期を見極めましょう。