土地の購入にかかる諸費用を徹底解説|必要な金額の目安も
土地購入は、多くの人にとって人生の大きな決断の1つです。土地を購入するときは、土地そのものの価格だけでなく、購入に際して発生するさまざまな諸費用についても把握しておきましょう。土地にかかる諸費用を考慮しないと、予算を大きく超えてしまうこともあるため、注意が必要です。
当記事では、土地購入に伴う主な諸費用とその内訳について詳しく解説します。具体的な費用項目とその計算方法を知って予算オーバーのリスクを回避し、無理のない購入計画を立てましょう。
目次
1.土地購入にかかる諸費用の目安は?
土地を購入する際は、土地そのものの代金に加え、さまざまな諸費用が必要です。一般的に、土地購入時の諸費用は土地価格の5~10%程度が相場とされています。たとえば、2,000万円の土地を購入する場合にかかる諸費用は、100万~200万円程度が目安です。これらの諸費用には、仲介手数料や印紙税、登記費用、ローン手数料などが含まれます。
土地は高額であり、諸費用も100万円を超えるケースが少なくありません。そのため、土地代のみで予算を組むと、諸費用が加算された際に予算を超える可能性があります。土地を選ぶ段階で大まかな諸費用を把握し、購入前に具体的な金額を確認しておくことが重要です。資金不足を防ぐためにも、土地の販売価格だけで判断せず、諸費用を見越して不動産購入計画を立てましょう。
2.土地購入に必要な諸費用の内訳
土地を購入する際には、土地の代金以外にもさまざまな諸費用が必要となります。土地の状態にかかわらず発生する可能性が高い諸費用は、下記の8種類です。
仲介手数料 | 手付金 | 印紙税 | 登記費用 |
司法書士費用 | ローンの手数料 | 不動産所得税 | 固定資産税・都市計画税 |
以下では、それぞれの費用について解説します。
2-1.仲介手数料
仲介手数料は、土地の売買を仲介した不動産会社に支払う費用です。この手数料は、売買契約成立後に支払う成功報酬で、土地探しの依頼段階では発生しません。仲介手数料の上限は、宅地建物取引業法によって以下のように定められています。
土地の価格 | 上限金額 |
---|---|
200万円以下の部分 | 価格の5.5% |
200万円超~400万円の部分 | 価格の4.4% |
400万円超の部分 | 価格の3.3% |
出典:国土交通省「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」
不動産業界では、下記の速算式で概算されるのが通例です。
土地代金×3%+6万円+消費税
たとえば、2,000万円の土地を購入する場合は、2,000万円×3%+6万円+消費税(10%)=72万6千円が目安となります。
支払いは売買契約時に半額、残りは土地の引き渡し時に支払うケースが一般的です。ただし、不動産会社が直接販売している土地を購入する場合や、不動産会社が仲介に入らない取引の場合には、この手数料はかかりません。
2-2.手付金
手付金は、土地の売買契約締結時に支払うお金で、契約が成立した証としての役割を持ちます。土地購入の意思を示すためのものであり、一般的には土地代金の5~10%程度が相場です。
手付金は売買契約時に支払い、最終的に土地代金の一部として充当されるのが一般的です。たとえば、2,000万円の土地を購入する場合の手付金が200万円なら、決済日に支払うのは手付金を差し引いた残りの1,800万円です。
買主が手付金を支払った後に契約をキャンセルする場合、基本的に手付金は返金されません。反対に、売主が契約を解除する場合には、受け取った手付金の倍額を買主に返す必要があります。売主によっても手付金の認識が異なるため、契約前に手付金の取り扱いやキャンセル時の条件について、売買契約書で確認しておくことが大切です。
2-3.印紙税
印紙税は、土地売買契約書などの「課税文書」に課される税金です。規定の金額の収入印紙を土地購入時に作成する契約書に貼りつけ、消印して納税します。電子契約の場合は印紙税が発生しません。印紙税額は土地の購入金額によって、以下のように変わります。
土地の購入金額 | 軽減税率 |
---|---|
100万円超~500万円以下 | 1,000円 |
500万円超~1,000万円以下 | 5,000円 |
1,000万円超~5,000万円以下 | 1万円 |
5,000万円超~1億円以下 | 3万円 |
1億円超~5億円以下 | 6万円 |
2024年現在、土地売買契約書の印紙税は軽減措置の対象となっています。たとえば、3,000万円の土地を購入する場合の印紙税は1万円です。軽減措置は令和9年3月31日まで継続されるため、この期間内に契約を結ぶ場合、軽減税率を適用できます。
印紙税は土地の売買契約が成立した時点で支払います。印紙の貼り忘れや消印の漏れがあると「過怠税」が課されることもあるため、入念に確認しましょう。
出典:国税庁「土地売買契約書」
2-4.登記費用
土地を購入した際には、所有権の変更を法的に記録する「登記」が必要です。登記にかかる代表的な費用が「登録免許税」という税金です。登録免許税は、以下の計算式で求められます。
登録免許税=土地の評価額×1.5%
通常、所有権保存登記にかかる税率は2%です。しかし、2026年3月31日までの間は軽減措置が適用され、1.5%に引き下げられています。たとえば、固定資産税評価額が1,500万円の土地の場合、1.5%の税率が適用されると、登録免許税は22万5,000円です。
登録免許税は土地の引き渡し時に支払うのが一般的で、契約の完了にともなって法務局へ登記申請を行います。納税時は印紙を購入し、それを登記申請書に貼りつける形です。
土地の購入後に必須の手続きのため、事前に不動産会社へ金額を確認しておくとよいでしょう。登記手続きが完了すれば、法務局へ正式に土地の所有権が記録されます。
2-5.司法書士費用
司法書士は、登記に必要な書類の準備や法務局への提出を代行してくれる法律の専門家です。土地の所有者名義変更などで、登記手続きを司法書士に依頼する際には報酬が発生します。司法書士報酬の金額は事務所や地域によって異なりますが、必要経費・事務手数料を含めた一般的な相場は3万~10万円程度です。通常、報酬の支払いは土地の引き渡し日に行います。
司法書士への依頼は、手間や時間を大幅に削減できるのが大きなメリットです。登記手続きは専門知識が必要となり、不備があると余計な時間や費用がかかる場合も少なくありません。不動産売買契約をスムーズに進めるためにも、安心して任せられる司法書士のサポートは重要です。複数の司法書士に見積もりを依頼し、比較すると費用を抑えやすくなります。
2-6.ローンの手数料
土地を購入する際に住宅ローンを利用する場合、さまざまな手数料が発生します。代表的なものとして挙げられるのが、住宅ローン手数料です。住宅ローン手数料は、金融機関が融資を行う際に徴収する費用で、20万~30万円程度が相場となります。
また、ローンの返済が滞った場合に備えて保証会社に支払う、「保証料」も必要です。保証料は借入金額の1~2%が一般的ですが、金融機関によって異なります。保証料の支払い方法には、ローン契約時に一括で支払う「前払い型」と、金利に上乗せする「金利上乗せ型」があります。
さらに、住宅ローン契約書には印紙代が必要です。1,000万円超~5,000万円以下の借入額の場合は2万円かかります。抵当権設定登記の登録免許税(借入金額の0.4%)や、司法書士への報酬も用意しなければなりません。
出典:国税庁「No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで
ローンの手数料や保証料の設定は、金融機関や保証会社によって差があります。金利だけでなく手数料や保証料も考慮して選ぶと、コスト削減につながるでしょう。
2-7.不動産取得税
不動産取得税は、土地や建物などの不動産を購入した際にかかる税金です。本則税率は固定資産税評価額の4%ですが、2027年3月31日までは軽減措置が適用され、3%で計算されます。たとえば、固定資産税評価額が1,500万円の土地の場合、不動産取得税は1,500万円×3%=45万円です。
この税金は土地を購入した時点で発生するわけではなく、所有権移転登記が完了した後に各都道府県から納税通知書が送られてきます。納税のタイミングは、登記完了後おおよそ4~6か月後です。
また、土地取得の日から3年以内に住宅を新築した場合や要件を満たした新築住宅や認定長期優良住宅を建てた場合、および住宅用地を取得した場合は、特例の適用となりさらに税額を抑えられることもあります。課税の際には固定資産税評価額を基準にするため、購入価格とは異なる点に注意が必要です。
出典:総務省「不動産取得税」
2-8.固定資産税・都市計画税
固定資産税と都市計画税は、土地や建物を所有している人に課される地方税です。毎年1月1日時点の所有者が納税義務者となり、購入の翌年から課税が始まります。
固定資産税は、土地や建物の所有者全員に課される税金で、税額は「固定資産税評価額×1.4%」が基本です。ただし、1.4%はあくまで標準税率であり、自治体によって異なる場合もあります。評価額は、市町村が決定した土地や建物の価格を基準に計算され、3年ごとに見直されます。また、住宅用地に対しては税負担軽減のための特例があり、200m2以下の部分については評価額の6分の1、それを超える部分は3分の1が課税標準となります。
都市計画税は、主に都市計画事業や公共施設整備の財源として使用される税金で、市街化区域内の土地・建物の所有者が対象です。税率は「固定資産税評価額×0.3%」が上限と定められていますが、実際の税率は自治体によって異なる場合があるので、必ず確認してください。
土地を購入した場合、その年度は売主との間で日割り計算による税金の精算を行います。土地の購入後に住宅を建てると減額措置が適用される場合があるため、事前に調べておきましょう。
出典:総務省「固定資産税」
出典:総務省「都市計画税」
3.場合によっては必要な土地購入の諸費用
土地購入費用に含まれるのは、物件の価格と基本的な諸費用だけではありません。土地の状態によっては、下記の費用が追加で発生する可能性があります。
測量費用 | 解体費用 | 地盤改良費用 |
インフラ整備費用 | 農地転用費用 |
特に安い土地を見つけた際は、こうした諸費用を見逃すと予算オーバーになることもあるため、注意が必要です。以下では、それぞれの費用について解説します。
3-1.測量費用
測量費用とは、土地の面積や形状を正確に測定し、隣接する土地との境界を明確にするためにかかる費用です。土地の売買や建築においては境界線の確定が必須であり、そのための測量が必要になるケースが少なくありません。測量には現況測量と確定測量の2種類があり、土地購入時に行われるのは主に確定測量です。
下記は、土地購入時に測量が必要なケースです。
- 正確な地積測量図がない場合
- 隣地との境界が明確でない場合
- 土地を分筆する(複数に分ける)場合
- 相続税や物納のために土地の価値を確定させる場合
下記のケースは測量の必要がありません。
- 分譲されたばかりで境界が明確な場合
- 正確な地積測量図がある場合
- 地価の低い広大な土地で、測量費用のほうが高額になる場合
- 買主・売主・近隣で、測量が不要と合意した場合
- 行政の承認まで時間がかかる場合
測量費用は、売主が負担するのが一般的ですが、契約によっては買主が負担する場合もあります。確定測量では30万~60万円程度が相場です。隣接地の所有者数が多い場合や官有地に隣接している場合は、費用が増加することがあります。
3-2.解体費用
解体費用は、土地に古い建物がある場合に、その建物を取り壊して更地にするために必要な費用です。解体費用は坪単価で算出されますが、建物の構造によって費用は大きく異なります。
構造ごとの解体費用の相場は、以下の通りです。
構造 | 1坪当たりの相場 |
---|---|
木造 | 3万~4万円 |
鉄骨造 | 4万~5万円 |
RC造(鉄筋コンクリート造) | 5万~6万円 |
たとえば、30坪の木造建物を解体する場合、費用は90万円~120万円が相場です。また、以下の要素も費用に影響を与えます。
- 立地条件
- アスベストの有無
- 浄化槽や外構の撤去
- 井戸の埋め戻し
- 廃材の量や種類
- 建物の高さ
- 残された家具の量
- 解体を依頼する時期
隣家との距離が近かったり重機の搬入が困難な立地だったりすると、解体費用が高額になるケースが少なくありません。また、アスベストが含まれた建材は専門の技術が必要となるため、割増価格になります。
解体費用を抑えるには、複数の業者から見積もりを取り、詳細な内訳を確認することが大切です。自治体によっては解体工事に対する助成金が利用できるところもあるため、事前に確認しておきましょう。
3-3.地盤改良費用
地盤改良費用は、購入した土地の地盤が軟弱で、そのままでは建物の重さに耐えられないと判断された場合に発生する費用です。まずは地盤調査を行い、必要な場合に地盤改良工事を実施します。
【地盤調査の種類】
・スクリューウエイト貫入試験(SWS試験)
一戸建て住宅の地盤調査でもっとも一般的な方法です。調査は数時間で終わり、相場は5~10万円程度です。
・ボーリング調査
地盤の特性をより深くまで調べるための調査で、マンションや大型建物に用いられます。調査に数日かかることがあり、相場は20万~30万円程度です。
・表面波探査法
地表から波を使って調査する方法で、精度は高くないものの地面を掘らずに実施できます。数時間で完了し、相場は8万円程度です。
【地盤改良の工法】
・表層改良工法
セメント系の固化材を使用して地盤を補強する方法で、地表から2mまでの浅い軟弱地盤に使用します。相場は20万~50万円程度です。
・柱状改良工法
地中にセメントを注入し柱状の構造を作って強化する工法で、地表から8mまでの地盤に適用されます。相場は50万~100万円程度です。
・鋼管杭工法
鋼管を地中に打ち込んで地盤を補強する方法で、さらに深い地盤に対応できます。相場は50万~200万円程度です。
地盤改良費用は土地の状態や建物の規模により大きく変わるため、複数の業者に見積もりを依頼して確認するとよいでしょう。
3-4.インフラ整備費用
インフラ整備費用は、土地購入時に上下水道や電気、ガスなどの生活インフラが整っていない場合に発生します。宅地ではすでに整備されていることが多いですが、未整備の土地に家を建てる場合は、それぞれの引き込み工事が必要です。インフラ整備費用には、工事費用や受益者負担金、水道加入金などが含まれます。
以下が主なインフラ整備費用の相場です。
上水道の新規引き込み | 50万~150万円 |
---|---|
管径の変更 | 0円~150万円 |
受水槽の設置 | 40万~50万円 |
下水道の新規引き込み | 0円~100万円 |
浄化槽の設置(下水道未整備地域) | 50万~100万円 |
都市ガスの引き込み | 0円~50万円 |
電柱の移設費用 | 0円~20万円 |
インフラ整備の費用は、土地の場所や引き込み距離などによって大きく変わるため、購入前に現地確認を行い、必要な工事費用を把握することが大切です。電気・ガスの場合、費用を負担してくれる会社もあります。自治体によっては補助金が出る場合もあるため、確認しておくとよいでしょう。
3-5.農地転用費用
農地転用費用は、農地を宅地や商業用地などに変更する際に発生する費用です。農地を転用するには、農地法に基づいた許可または届出が必要で、手続きの内容に応じた費用がかかります。市街化区域内の農地であれば農業委員会への届出のみで転用が可能ですが、市街化調整区域にある農地では都道府県知事の許可を得なければなりません。
農地転用費用の相場は、以下の通りです。
市街化区域内 | 届出に3万~5万円 |
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市街化調整区域内 | 許可申請に10万~20万円 |
この費用には、測量費や申請書類の発行手数料が含まれます。また、行政書士などに依頼する場合は、さらに報酬費用が必要です。届出の場合は3万~7万円、許可申請では6万~15万円の報酬が一般的です。
農地転用は、特に市街化調整区域での許可が厳しい傾向にあります。無断転用すると法律違反となるため、注意が必要です。
まとめ
土地購入に伴う諸費用は、土地代金の5~10%程度が目安とされていますが、その内訳は多岐にわたります。仲介手数料や印紙税、登記費用など、さまざまな費用を事前に把握し、購入時に備えることが大切です。
また、土地の状態や地域によっては測量費や解体費、地盤改良費などの追加費用が発生する可能性もあります。これらの費用を見越して予算の計画を立て、理想の土地を手に入れるための準備を行いましょう。
今回3章で紹介した5つの諸費用は、アイダ設計では全て込みのため費用を抑えることが可能です。費用を抑えつつ土地を購入したい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。