住宅ローンとは?仕組みや種類・手続きの流れ・審査のポイントを解説
「住宅ローン」という言葉を聞いたことはあっても、実際にはどのような仕組みのローンであるか、どのような流れで手続きをするのか分からないという方は少なくありません。
住宅の購入には多額のまとまったお金を用意する必要があるため、多くの方が住宅ローンを利用します。
以下では、住宅ローンの意味や仕組み、また種類、手続きの流れなどを解説します。住宅ローンの利用するために必要な審査を通過するポイントも解説するため、ぜひ参考にしてください。
目次
1. 住宅ローンとは?仕組みを解説
住宅ローンとは、住まい購入や改築などのために、金融機関からお金を借りて組むローンのことです。原則として、契約者や家族の生活拠点となる住宅を取得、改築する際に活用できます。人に貸すための物件や別荘(セカンドハウス)の購入には利用できません。
特に住宅購入の場合は、数千万円ものまとまった資金が必要なため、住宅ローンを利用する人がほとんどです。住宅ローンは他のローンと同様に、利息が発生します。ローン契約者は、借入額と利息を合わせた金額を完済まで毎月返済する仕組みです。また、利子タイプは適用金利がずっと一定の固定金利と、適用金利が変動する変動金利が存在します。
利息はお金を借りている期間に応じて膨らむため、返済期間を短くすることで利息を抑えて返済総額を最小限にできます。返済期間を長くすると、返済総額は増えるものの、毎月の家計負担を軽減できるのが特徴です。住宅ローンの借入額や返済期間は、仕事の安定性や長期的なライフプランなど、家庭の状況を踏まえて慎重に検討しましょう。
2. 住宅ローンの種類
住宅ローンは、大きく民間融資・公的融資・協調融資(フラット35)の3種類に分かれています。各種住宅ローンから自分に合うものを選択できるよう、それぞれの特徴をしっかり確認しておきましょう。
以下では、住宅ローンの種類ごとの特徴について解説します。
2-1. 民間融資
民間融資は、銀行や信用金庫、労働金庫などをはじめとする民間金融機関が提供する住宅ローンサービスを指します。収入や勤続年数といった、各金融機関が設ける条件を満たした場合に申し込める金融商品です。
また、民間融資は提携ローンと非提携ローンに分類できます。提携ローンは、不動産会社やハウスメーカーと提携関係にある金融機関が提供する住宅ローンのことです。提携ローン以外の住宅ローンは非提携ローンとされます。
民間融資の住宅ローンでは、金融機関ごとにさまざまなサービスが展開されているのが特徴です。具体的には、ローン手続きがネット上で完結し手数料などの諸費用が抑えられたもの、普段から銀行サービスを利用していると住宅ローン金利の優遇を受けられるものなどが挙げられます。最近では、住宅ローン専門会社や生命保険会社が提供する民間融資も増えました。
2-2. 公的融資
公的融資は、自治体などの公的機関が扱う住宅ローンです。具体的には、「財形住宅融資」と「自治体融資」が公的融資に該当します。
「財形住宅融資」は、勤務先での財形貯蓄の継続期間が1年以上で、貯蓄残高が50万円以上といった条件を満たした方が利用できる融資です。融資額は財形貯蓄の10倍の金額以内で、最高4,000万円までとなっています。借入時の金額が5年固定で1%前後と、比較的低く設定されている傾向にあります。
「自治体融資」は、都道府県や市町村が窓口になって融資を行う住宅ローンです。自治体融資制度の有無や内容は、それぞれの自治体で異なります。自宅や勤務先がある自治体にどのような制度があるか、チェックしておきましょう。制度実施自治体のほとんどでは居住期間や勤務年数、一定金額以下の収入といった条件が設けられているため、注意が必要です。
2-3. 協調融資(フラット35)
協調融資は、「フラット35」という名称で知られ、住宅金融支援機構と民間金融機構の連携によって行われている融資で、民間融資と公的融資の中間的な位置づけです。借入期間は最長35年で、返済期間中ずっと借入時の金利が適用される「長期固定金利型」の住宅ローンとなっています。金利が変動しないため、長期的な返済計画を立てやすいのが特徴です。
民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供するフラット35は、民間金融機関が窓口となって融資契約を結びます。返済期間中の金利は一定ですが、金融機関ごとの金利は異なるため注意しましょう。
なお、民間融資では団体信用生命保険への加入が必須であるのに対し、フラット35では任意とされています。健康上の理由で民間融資の住宅ローン審査に通らなかった方も、フラット35なら契約できる場合があります。
3. 住宅ローンの手続きの流れ
住宅ローンを利用する際は、借りたいローンを決定するために情報を収集し、住宅ローンごとのメリットやデメリットなどをしっかり理解するのが重要です。利用したい住宅ローンが決まったら次の流れに沿って、手続きを進めましょう。
住宅ローンの種類や選び方の記事はコチラ
3-1. 事前審査の申し込み
住宅ローンの審査はほとんどの場合、事前審査と本審査の2ステップで行われます。事前審査は仮審査とも呼ばれ、本審査よりも簡易的に行われる審査です。事前審査は、住宅の売買契約などを行う前に、住宅ローンの融資が受けられるかを確認するために重要なステップです。
購入したい物件が決まったタイミングで、申込者の本人確認書類や源泉徴収票といった金融機関所定の書類を提出し、事前審査を申し込みます。最近では、郵送に加えて、インターネットで事前審査を受け付けている金融機関も増えています。事前審査は、1週間程度で結果が出るケースがほとんどです。
3-2. 本審査の申し込み
事前審査の通過を受けて売買契約を結んだら、住宅ローンの申し込みに進んで本審査を受けます。本審査では、住民票や印鑑証明書など、仮審査では必要がなかった書類も求められます。提出漏れがないよう、早めに必要な書類などの準備を始めましょう。
本審査では購入物件や申込者について、仮審査よりも詳細な審査が行われるため、10日から2週間程度時間がかかるのが一般的です。なお、仮審査に通ったからと言って、本審査を必ず通過できる訳ではありません。もしもの場合に備えて、契約書に本審査に通らなかった場合は売買契約を白紙にできる「ローン特約」が盛り込まれているかを確認しておきましょう。
3-3. 契約の手続き
住宅ローンの本審査に通ったら、金融機関で「金銭消費貸借契約」を結びます。一般的に、手続きは金融機関が営業している平日に行われるため、事前に仕事の調整などが必要な場合は注意しましょう。
住宅ローンの金利タイプや返済期間は、金銭消費貸借契約のタイミングで決まる場合と融資実行時に決まる場合があり、金融機関によって異なります。自身が契約する金融機関のケースに合わせて、返済計画を確認しておきましょう。
また、抵当権設定契約や保証委託契約なども、金銭消費貸借契約のタイミングで行われます。
3-4. 融資実行
契約上定められた日程で、住宅ローン融資が実行されます。融資が実行されて、住宅ローン申込者の銀行口座に振り込まれた借入額をハウスメーカーや不動産会社などへの支払いに充てる仕組みです。
なお、住宅ローン実行と物件の引き渡しは、同時に行われるのが原則とされています。融資実行の翌月には、毎月のローン返済が始まるケースも多いため、引き落とし口座残高を忘れずにチェックしましょう。
4. 住宅ローンの審査のポイント
住宅ローン審査には事前審査と本審査があります。一般的に住宅ローンの借入額は高額であり、返済期間も長期に及ぶため、申込者に返済能力があるかが慎重に審査されるのが特徴です。審査で重視される、以下のポイントを事前に確認しておきましょう。
- 年収
- 年齢
- 信用情報
- 返済負担率
- 健康状態
- 担保評価など
長期的に無理のない返済が求められる住宅ローンは、年収や返済負担率、健康状態といった指標が重視されます。また、完済時の年齢が高い場合も、審査に通過しにくいとされています。
さらに、信用情報に問題がある場合も、審査に通過できない可能性が高いため、注意が必要です。返済中のローンがある方は、完済してから住宅ローンに申し込むのがおすすめです。
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まとめ
住宅ローンとは、住宅の購入や改築の際に金融機関から借りるお金を借りて組むローンのことです。住宅ローンには民間融資と公的融資、協調融資(フラット35)の3種類があり、それぞれ特徴が異なるため、どの融資を利用するかをしっかりと検討することが大切です。
住宅ローンの種類を決めたら融資を受けられるよう手続きをします。手続きはまず事前審査と本審査があり、2つの審査が通ることで金融機関と金銭消費貸借契約を結び融資を受けられるようになります。住宅ローンの審査では返済能力があるか、年収や年齢、信用情報など複数の情報から審査が慎重に行われる傾向にあります。