分譲住宅の諸費用について|購入前に発生する手付金など詳しく解説
分譲住宅は、注文住宅に比べて代金が安いなどのメリットがあるため、マイホームが欲しい多くの人にとって魅力的な選択肢です。しかし、住宅を購入する際は、土地や住宅の購入代金以外にも税金・手数料といった諸費用が発生します。
一概にはいえませんが、物件価格の5~10%程度の諸費用が発生することも、決して珍しくありません。この記事では、物件購入前・購入時・住宅ローン利用時に発生する、分譲住宅の諸費用について解説します。
1.分譲住宅の購入前に発生する諸費用
多くの場合、購入したい分譲住宅を見つけて、これから購入手続きを進めようという段階では、他の物件も比較検討しながら選ぶことになります。その際、買主側の事情でキャンセルせざるを得ない状況も考えられるため、まずは以下の諸費用が発生することを押さえておきましょう。
手付金
手付金とは、分譲住宅など物件の売買契約を結ぶ際、購入契約が成立したことを証明するために支払うお金のことです。購入希望者が売主に手付金を支払うことで、他の購入希望者への物件案内をストップすることもできます。
相場観は「物件価格の5~10%」で、大抵の場合は「解約手付」として支払います。解約手付とは、いったん締結した契約を「どのような理由であっても」後で解除できる手付金のことです。
例えば、買主が慎重に検討した結果、物件購入をキャンセルした場合、買主は手付金を放棄(支払う)ことになります。逆に、売主側が何らかの事情でキャンセルを希望する場合は、購入者に対して手付金の倍額を支払わなければなりません。
無事契約が進んだ場合、手付金は物件の購入代金に充当されます。
印紙税
印紙税とは、一定額以上の取引における契約書・領収書の作成時に必要な税金のことです。契約書・領収書に貼り付ける「印紙の代金」ともいえるでしょう。
住宅の取引金額によって税額も変わるため、購入する住宅の金額が高いほど、税額も高くなります。印紙を貼る必要がある書類の具体例としては、不動産売買契約書・金銭消費賃借契約書などが該当します。
なお、収入印紙は、法務局・郵便局などで購入できます。
2.分譲住宅の購入時に発生する諸費用
分譲住宅の購入時は、売主や不動産会社だけでなく、税金や登記にかかるコストも考慮する必要があります。以下、具体的な諸費用について解説します。
仲介手数料
仲介手数料とは、売主・買主の不動産売買契約を仲介する不動産会社に対して支払う手数料のことです。不動産会社に仲介手数料を支払うタイミングは2回に分かれ、1回目は売買契約の締結時、2回目は物件引き渡し時となるケースが多く見られます。
仲介手数料には上限が定められており、計算式は「物件価格×3%+6万円+消費税」となります。また、仲介手数料は不動産会社によって設定額が異なるため、事前に確認するようにしましょう。
不動産取得税
不動産取得税は、新しく不動産を取得した際に発生する税金です。分譲住宅を購入した人は、取得不動産の所在する都道府県に、不動産取得税を納税します。
基本的な納税額の計算方法は「不動産評価額×税率(4%)=税額」となりますが、新築住宅の軽減措置が適用されることで、課税標準額から1,200万円控除できるなどの特例もあります。
登録免許税
新たに購入した物件は、法務局で登記を行わなければならず、その際に税金として登録免許税の納付が必要です。計算式は「不動産の固定資産税評価額×税率」で、基本的な税率は2.0%となっています。
ただし、軽減税率も設けられており、例えば「特定長期優良住宅・認定低炭素住宅の建物の保存登記」における税率は0.1%となります。登録免許税に関しては、分譲住宅の種類によって税率が異なる点に注意しましょう。
司法書士報酬
分譲住宅を購入する場合、自分で不動産登記を行うのではなく、司法書士が登記手続きを代行するケースが一般的です。司法書士の報酬は、金額・算定方法・諸費用を明示した上で、依頼者との合意により決定します。
そのため、登記代行にかかる費用感は、司法書士が提示する金額や都道府県によって異なります。日本司法書士会連合会が2018年に行った報酬アンケートによると、課税価格1,000万円の新築建物のケースにおける平均額は関東地区で24,707円(※)となっています。
※参考:日本司法書士会連合会「報酬アンケート結果(2018年(平成30年)1月実施)」
その他の費用
マイホームを手に入れた後、将来的に発生する費用としては、固定資産税・都市計画税があげられます。納税は4期に分けて行う必要があるので、自分が物件を購入した際にいくら税金が発生するのか、あらかじめ計算しておくことをおすすめします。
オプションで何らかの設備を追加することを想定している場合、追加工事にかかる費用も見積もっておかなければなりません。予算と相談しながら、自分たちの生活に本当に必要な設備を見極めましょう。
3.住宅ローン利用時に発生する諸費用
住宅ローンを組んで分譲住宅を購入する場合は、住宅ローンに関する諸費用も見込んで予算を組みましょう。以下、具体的な費用についてご紹介します。
ローン保証料および融資手数料
ローン保証料とは、住宅ローンで保証会社を利用する際に発生する手数料のことです。具体的な保証料は、借入額・返済期間によって変動します。
これに対して融資手数料は、住宅ローン借入を行う金融機関に支払う手数料のことをいいます。融資手数料も、金融機関によって差があるため、購入前に複数の金融機関の情報を集めたいところです。
火災保険料・地震保険料
住宅ローンを利用する際の融資条件として、火災保険への加入が求められる場合、火災保険料の支払いが必要です。地震保険料は任意というのが一般的ですが、もし加入する場合は、その分も見積もっておかなければなりません。
その他の費用
住宅ローンを組む際は、金銭消費賃借契約書を作成するので、印紙代が必要になります。また、抵当権設定登記を行うため、登録免許税や司法書士報酬も別途発生します。
抵当権設定登記の登録免許税は、本則では0.4%となっていますが、住宅ローンを組む場合は軽減税率の適用を受けて0.1%となります(2024年3月31日まで)。
なお、抵当権設定登記は、金融機関が指定した司法書士に依頼するのが一般的です。
4.分譲住宅の諸費用を安くすることはできる?
分譲住宅購入にかかる諸費用を安くするためには、金額変更の余地がない費用を心配するよりも、選択次第で安くできる費用に注目するのがベターです。以下、工夫次第で安くなる可能性がある諸費用について解説します。
ローン保証料および融資手数料
住宅ローンを借りる際は、金融機関が提示するローン保証料・融資手数料の金額につき、比較検討するようにしましょう。諸費用の安さ・金利の低さを確認して、総合的に安くなりそうな金融機関を選べば、保証料・手数料を安くすることにつながります。
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火災保険料
火災保険料の金額は、月払い・年払いを選ぶよりも、一括払いを選んだ方が安くなります。また、不要な特約を外すことで、保険料を安く抑えられるでしょう。
仲介手数料
不動産会社に支払う仲介手数料は、上限こそ決まっているものの、下限はありません。
無理な交渉をしても、断られてしまう可能性が高いですが、安くなる可能性があるなら担当者に価格交渉するのも一手です。
5.まとめ
分譲住宅を購入する際は、土地・建物代以外にも様々な費用が発生します。大まかな内訳としては、税金・手数料・司法書士報酬等が該当します。
各種税金に関しては、あらかじめ税率が定められているため、打てる手は限られてきます。しかし、各種手数料や火災保険料に関しては、情報収集や交渉によって費用を減らせる可能性があります。 これからマイホームを購入しようと考えている方は、最終的に費用がいくらかかるのか把握しておくことが大切です。