建売住宅の寿命や耐用年数は?寿命を長持ちさせるのポイントを解説
住宅を購入する際、「デザインや間取りは一般的なものでかまわない」「費用を安く抑えたい」と考えている方は、建売住宅が気になるでしょう。しかし、建売住宅は注文住宅に比べて「寿命が短い」という噂を聞いて悩んでいませんか?
それは全くの誤解。建築基準法にのっとって建てられた建売住宅と注文住宅の寿命は、基本的に変わりません。長く住めるかどうか判断するポイントは別にあります。 この記事では、建売住宅の一般的な平均寿命に触れつつ、寿命の長い家の選び方や長持ちのポイントについて解説します。
1.建売住宅の平均寿命について
建売住宅の平均寿命を判断する方法としては、次の2つの方法がよく知られています。
- 「法定耐用年数」を用いた判断
- 「日本住宅性能表示基準の劣化対策等級」を用いた判断
判断方法によって、具体的な年数が変わってくるため、まずはそれぞれの違いについて確認しましょう。
法定耐用年数で判断する場合
法定耐用年数とは、国が定める「固定資産を使用できる期間」のことで、固定資産に価値があると判断するための指標です。住宅は居住年数が経過するにつれて劣化するため、法定耐用年数を基準に住宅の価値は下がっていき、これを減価償却といいます。
住宅の法定耐用年数は、住宅の構造によって、以下のように年数が異なります。
なお、法定耐用年数を参考にする際は、「法定耐用年数=住宅の寿命」という単純な計算式が成立しない点に注意しましょう。
例えば、一般的な建売住宅の寿命は法定耐用年数としては20~30年ほどですが、完成後にしっかりメンテナンスを行うことで50~60年まで寿命を延ばすことは十分可能です。
劣化対策等級で判断する場合
劣化対策等級とは、不動産を評価する際に活用される項目の一つで、建物の劣化対策がどの程度行われているか評価するための基準です。
等級の数字が上がるごとに建物が長持ちするという考え方で、例えば「等級3」は、通常想定される条件のもと、3世代まで大規模な改修工事をせずに使えるよう対策されています。
1世代が具体的に示す年数は「25年~30年」なので、等級3は75~90年まで大規模な改修工事が必要なく、適切なメンテナンスで住める等級と解釈できます。なお、等級2は50~60年、等級1は25~30年までとなっています。
2.建売住宅と注文住宅の寿命は変わらない?
注文住宅は、素材やデザインなど様々な部分に自分のこだわりを詰め込めるため、建売住宅に比べて寿命が長いと考えている人も多いようです。しかし、建売住宅と注文住宅の寿命は、基本的に変わりません。
以下、建売住宅と注文住宅の寿命が変わらない理由を解説します。
建築基準法にのっとって建築されている
建売住宅であろうと注文住宅であろうと、住宅は建築基準法に従って建築することに変わりはありません。いずれの住宅も、法律で定められた耐震性・耐久性等の基準を満たす必要があり、建築前・建築中・完成後に検査が実施されます。よって、単純に建売住宅・注文住宅という区分だけで、品質の差を説明することはできません。
住宅品確法による品質保証
建売住宅・注文住宅の両方に適用される住宅品確法によって、住宅の品質は一定に保たれています。万が一、住宅が引き渡されて10年以内に欠陥が見つかった場合は、引渡しの際に見つかっていなかった欠陥に限り、売主が無償で補償することになっています。
3.長く住める建売住宅の選び方
購入予定の住宅に長く住めるかどうか判断する際は、その住宅の質だけでなく、立地や周辺環境にも配慮することが大切です。長く住める建売住宅を選びたい場合、次のような点に注意して選ぶようにしましょう。
土地・地盤の安全性をチェック
建物が立派でも、地盤の悪さで建物が傾いてしまっては意味がありません。居住地域によって災害リスクは異なるため、市区町村の各種ハザードマップを確認して、購入予定の住宅の災害リスクを事前に把握しておきましょう。
なお、一口にハザードマップといっても、風水害に備えるのか、地震に備えるのかによって、チェックするポイントが異なります。 例えば、大きな地震が起こるリスクが高い地域なら、揺れの強さ・液状化の危険度・家屋全壊率などを確認する必要があります。海沿い・川沿いの家を購入しようと考えているなら、洪水や津波による浸水情報などを把握しておきたいところです。
内覧で雰囲気をチェック
建売住宅を内覧できる場合は、積極的に足を運びましょう。専門的なことはまったく分からないとしても、その家に「長く住む」という観点から見れば、ドア・窓の開閉がスムーズかどうか、窓から家の中が丸見えかどうかなど、気になるポイントが出てくるはずです。
二階建ての物件の場合、歩いた時に床の音が鳴るかどうか、気になる人はチェックしておいた方が無難です。その他、コンセントや照明の位置・各部屋のエアコンのサイズなど、実際に住んでみた際に不便に感じられる点はないかも確認しておきましょう。
ホームインスペクションは必要か?
住宅に詳しいプロの診断士に住宅診断を頼む「ホームインスペクション」は、一般的に中古住宅を購入する際に利用されるものですが、新築物件で依頼することも可能です。ただし、新築住宅の診断費用は買主負担になるケースが多いため、どうしても不安な場合のみ検討するくらいでいいでしょう。
4.建売住宅を長持ちさせるポイント
建売住宅は高額な買い物であるため、末永く住み続けるためにも、できるだけ長持ちするポイントを押さえておきたいところです。以下、具体的なポイントをご紹介します。
寿命を縮める原因に敏感になる
建売住宅の劣化は、シロアリや木材の腐敗など、様々な理由で進行します。外壁や屋根は直射日光・雨風によって劣化しやすく、築30年以上にもなれば雨漏りも心配になってきます。
このように、住宅が劣化するポイントは数多く存在しており、それぞれ対策も異なります。自力で問題を解決できず、業者に依頼することも想定しておかなければなりません。
建売住宅の寿命を延ばすためには、住宅が寿命を縮める原因が何なのかを知り、敏感になることが大切です。
定期的なメンテナンスを実施する
周辺の住宅で白アリ被害が深刻な場合は、防蟻処理を5年ごとに実施します。外壁や建物に関しては、補修を10年ごとに行うのが一般的です。このように、劣化が進みやすい箇所のメンテナンスを定期的に行うと、建売住宅の寿命を延ばすことにつながります。
5.まとめ
建築基準法にのっとって建てられた建売住宅と注文住宅の寿命は、基本的に変わりません。長く住めるかどうかは、建売かどうかではなく別の要素で変わってきます。
建売住宅の寿命を考える際は、法定耐用年数・日本住宅性能表示基準の劣化対策等級の数値が参考になります。しかし、数字上の性能だけではなく、定期的なメンテナンスや土地のハザードマップなども含めて検討することが、家の寿命を延ばすことにつながります。
アイダ設計の「いろどりアイタウン」は、創業時から“丈夫で長持ちする家”を作ることに力を注ぎ、第三者機関による施工品質チェックなどの厳しい基準をクリアした住宅をお届けしています。また、アイダ設計の注文住宅には35年保証をお付けしており、お客様が入居された後も自社専門スタッフによる定期点検を実施しています。