
再建築不可の土地とは?価値や活用方法・再建築可能にする方法を解説


再建築不可の土地とは、建物を取り壊すと新たに家を建てられない土地を指します。接道義務を満たしていない、または市街化調整区域に指定されている土地などが該当します。
一般的な宅地と比べて流通価値が低くなりがちですが、売却や運用をあきらめる必要はありません。工夫次第で資産として活用することも可能です。また、一定の条件を満たせば再建築が可能になるケースもあります。
この記事では、再建築不可の土地の定義、価値が下がる理由、活用法、再建築可能にするための方法を解説します。
目次
1.建物が再建築不可物件になる土地とは
建物が再建築不可物件になる土地とは、現在建物が建っていても、一度取り壊して更地にすると、新たに家を建てられない土地のことです。
都市計画区域や準都市計画区域における建築基準法の規定を満たしていない、以下のような土地で発生します。
・接道義務を満たしていない
建築基準法では、幅員4m以上の道路に間口が2m以上接していることが建物を建築する条件とされています。道路と接していない、または幅員4m未満の道しか接していない土地は、この接道義務を満たさず、再建築が認められません。
・市街化調整区域に建てられている
市街化調整区域とは、新たな建物の建設が原則として禁止されている土地のことです。建物の建築後に土地が市街化調整区域に指定された場合、一度建物を取り壊すと再建築できなくなります。
2.再建築不可の土地の評価額は低くなる?
再建築不可の土地は、建て替えができないという法的制限があるため、一般的な土地に比べて評価額が低くなる傾向があります。物件の立地や建物の状態によって差はあるものの、建物も含め、相場の5~7割程度の販売価格になることが多いとされています。
再建築不可の土地の評価額が低くなる主な理由は、以下の通りです。
・建て替えや増築ができない
災害や老朽化で建物が使えなくなっても、同じ場所に再建築できません。そのため、住宅用地としての需要が低く、評価額も下がります。
・住宅ローンを利用しにくい
再建築不可物件は金融機関から担保価値が低いとみなされ、住宅ローンの利用が難しい傾向があります。購入希望者は現金での一括購入を求められる場合が多く、買い手が限られ、価格が下落します。
・築年数が古い物件が多い
再建築不可物件の多くは、建築基準法改正により接道義務が定められた1950年以前や、都市計画法が定められた1968年以前に建てられた築年数が古い物件です。老朽化により住宅としての評価が下がるだけでなく、建物の状態によっては解体費用などの負担も発生するため、土地そのものの査定も低く見積もられる傾向にあります。
3.再建築不可の土地の価値を高める活用方法
再建築不可の土地は資産価値が低くなりやすい一方で、所有者の工夫次第で十分に活用することが可能です。
以下では、代表的な活用方法を紹介します。
3-1.コンテナハウスやトレーラーハウスを設置する
コンテナハウスやトレーラーハウスは、建築物とは異なり、設置にあたって建築基準法上の制約を受けにくいのが特徴です。特にトレーラーハウスは「車両」として扱われるため、建築確認申請が不要なケースが多く、再建築不可の土地でも導入しやすいと言えます。
簡易な住居や事務所、倉庫などとして活用できるほか、貸し出すことで収益を得ることも可能です。ただし、設置には車両の搬入経路が確保されていることが前提であり、間口が極端に狭い土地では搬入そのものが難しい場合もあります。
3-2.駐車場や駐輪場にする
更地にして駐車場や駐輪場として運用するのも有効な活用方法です。月極駐車場やコインパーキングとして運用すれば、安定的な収益を見込めます。駅や商業施設の近くに位置する土地であれば、特に高い需要があるでしょう。
また、自動車の出入りが難しい狭小地では、バイク専用の駐車場や自転車専用の駐輪場として活用する方法もあります。運用コストが比較的低く抑えられるため、投資回収もしやすい点がメリットです。
3-3.農園や畑にする
土地を農園や畑として活用する方法もあります。家庭菜園を楽しむだけでなく、貸農園として第三者に貸し出せば、利用料収入を得ることも可能です。特に都市部では、自宅に庭がない人や自然と触れ合いたい人のニーズが高まっており、貸農園の需要は拡大しています。
ただし、農園として活用する場合は、近隣とのトラブルを防ぐためにも雑草対策や害虫・鳥獣被害への対応が求められます。また、車の乗り入れができない土地では、農機具の運搬や収穫物の運び出しに支障が出る点には注意が必要です。
3-4.自動販売機を設置する
自動販売機の設置は、少ないスペースでも始められるシンプルな土地活用方法です。飲料や食品などを扱う自動販売機を設置することで、販売手数料やレンタル料を得られます。管理会社に委託すれば、商品の補充や清掃などの運用業務も任せておけて、手間がかからない点が魅力です。
ただし、設置場所の人通りや見通しの良さが収益性に大きく影響するため、需要の見込める立地かどうかを見極めることが重要です。加えて、ゴミのポイ捨てや騒音など、近隣住民とのトラブルを防ぐための対策も必要です。
3-5.太陽光発電設備を設置する
再建築不可の土地でも、太陽光パネルを設置して発電した電力を売電することで収益化を図れます。建築物ではないため建築確認申請は不要で、広い土地が確保できれば複数のパネルを並べて発電量を増やすことが可能です。
近年は売電価格が低下傾向にあるものの、安定した収益が得られる仕組みである点は変わりません。自分で設備を設置する方法のほかに、太陽光発電事業者に土地を貸し出して賃料を得る方法もあります。
3-6.資材置き場や貸し用地にする
建物を建てられない土地であっても、資材置き場や簡易な物置として企業に貸し出すことで、賃料収入を得られます。特に建築業や造園業など、大量の資材を一時的に保管したい需要のある業種にとっては、倉庫代わりの土地は価値のある存在です。
また、残った建物を物品の保管スペースとして貸し出せるのもメリットです。
4.再建築不可の物件は再建築可能にできる?
再建築不可とされている物件でも、一定の条件を満たせば再建築が可能となる場合があります。主な対処法は、以下の4つです。
セットバックする | 前面道路の幅員が4m未満の場合は、敷地を後退させて道路幅を確保する「セットバック」により接道義務をクリアできる可能性があります。ただし、セットバックには塀や構造物の撤去、および道路舗装などの費用がかかります。 |
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位置指定道路の申請を行う | 接道義務を満たしていない土地でも、接している道路が幅員4m以上である場合、その道路を「位置指定道路」として申請することで、再建築が認められることがあります。位置指定道路とは、特定行政庁が建築基準法に基づき「建築物の敷地に接する道路として認める」と指定した私道です。一定の要件を満たしていれば、手続き可能になります。 |
隣接地を借りるか購入して接道条件を満たす | 敷地の接道部分が2m未満であるために再建築が認められない場合には、隣地所有者と交渉し、隣接する土地を一部購入または借用することで、接道条件を満たせる可能性があります。敷地の間口を2m以上確保することで、建築基準法に定められた接道義務をクリアできます。 |
43条但し書き申請を行う | 接道義務を満たさない敷地であっても、「建築審査会の許可」を得て建築を認めてもらう制度が「建築基準法第43条但し書き申請」です。 以下の3つの条件をすべて満たす必要があります。
ただし、この方法はあくまで例外的な措置であり、申請が認められる保証はありません。 |
また、再建築不可物件は、建て替えや増築は原則できませんが、建築確認申請が不要な範囲内であればリフォームは可能です。
建築基準法では、対象物件が「4号建築物(木造2階建て以下、延べ床面積500平方メートル以下)」であれば、建物主要構造部(壁・柱・梁・床・屋根・階段)の1/2以下の修繕や、防火地域・準防火地域外での10平方メートル以下の増改築が認められています。床の張り替えや水回り設備の更新、外壁の一部塗装といった工事であれば、許可なしで実施できます。
リフォームによって住宅としての機能を維持すれば、自分で使うだけでなく、賃貸物件として収益を得ることも可能です。
まとめ
再建築不可の土地は評価額が下がる傾向があるものの、駐車場やトレーラーハウスの設置、農園などとして活用することで資産価値を高めることが可能です。
また、セットバックや隣接地の取得、位置指定道路の申請などにより、再建築が認められる場合もあります。リフォームによる利用も視野に入れることで、用途の幅は広がります。
ただし、再建築不可物件となる土地は、一見安いように見えても活用に工夫が必要です。これから土地を購入する方は、再建築不可物件かどうか確認し、避けるようにしましょう。
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