注文住宅を建てるときには、事前の打ち合わせが非常に重要です。打ち合わせを通じて、自分の希望や要望がどの程度実現可能なのかを施工会社とすり合わせることになります。マイホームが完成してから「ああすればよかった」と後悔しないように、打ち合わせのタイミングでできる限り希望や要望を具体化しておくとよいでしょう。
この記事では注文住宅を建てるときに必要な打ち合わせの期間や回数、打ち合わせの流れ、注意点について解説します。自分の希望に沿ったマイホームを建てたい方は、ぜひこの記事を参考にしてください。
1. 注文住宅の打ち合わせに必要な期間・回数
注文住宅の打ち合わせに必要な回数は家の大きさや仕様によってさまざまですが、一般的には着工前から引き渡しまでの間で10回ほどが目安となります。ただし、あらかじめプランがある程度決まっている方であれば、打ち合わせは全体を通して4~5回ほどで済むケースもあります。
打ち合わせの回数が特に多いのは着工前です。注文住宅はプランニングの段階が最も重要になるため、5回ほど行うことが多く、こだわりが強い方は10回以上打ち合わせを重ねるケースもあります。
施工中の打ち合わせの回数は一般的に1~5回程度です。さらに、家が完成してから引き渡しまでの間に1~3回程度の打ち合わせを行います。
注文住宅の打ち合わせにかかる期間は最短1か月、一般的には3か月程度です。通常は新居に住むタイミングがある程度決まっているため、打ち合わせにかかる期間は逆算して調節することになります。
なお、1回の打ち合わせにかかる時間は1~2時間程度です。
2. 注文住宅の打ち合わせの流れ
注文住宅の打ち合わせの流れはある程度決まっており、大きく「着工前」「着工後(施工中)」「完成後(引き渡し前)」の3つのステップに分かれています。各段階でどのような打ち合わせを行うのか、詳しく解説します。
2-1. 着工前
着工前の打ち合わせで話し合うのは、主に以下の内容です。
- 家の間取り、内装・外装、住宅設備
- 建物の位置や高さ
- 外構(庭、フェンス、駐車場など)
- 予算
マイホームに希望する内容が、施工会社が実現できる内容なのかを刷り合わせる大切なフェーズとなります。
家づくりで失敗しないためには、着工前のタイミングで、絶対に譲れない条件や希望を施工会社に明確に伝えることが大切です。建てたい家の条件を可能な限り言語化して伝えておけば、施工会社からの確認作業を減らせるほか、誤解が生じるリスクも低減させられます。
ただし、前提として、住宅に関するすべての希望を実現するのは容易ではありません。多くの場合、施工会社との擦り合わせを行う中で、技術的な問題や法律上の制限、予算などの理由で諦めざるを得ない部分が現れます。家に関する希望にはあらかじめ優先順位を決めておき、妥協できるポイントなどを施工会社に伝えておくと話がスムーズに進みやすいでしょう。
また、後々のトラブルを避けるために、予算についても着工前の段階でしっかりと話し合うことが重要です。
2-2. 着工後(施工中)
着工後の打ち合わせでは、以下のような点を打ち合わせます。
着工後の打ち合わせでは、主に設計通りに工事が進んでいるかの確認を行います。変更したい部分や依頼した内容と違っている部分が見つかったら、施工会社に早急に伝えることが大切です。
工事の進み具合によっては、修正が遅れると追加の費用が発生するケースもあるため、気付いた時点での意見交換が必要になります。例え小さな問題でもしっかりと伝えておけば、後々トラブルが大きくなることを避けられるでしょう。
着工後の打ち合わせでは、着工前までに決められなかった内容や、家の細かい内装、照明やコンセントの設置場所などについても話し合います。壁紙などの色やデザインも、施工会社との打ち合わせを重ねる中で決めるのが一般的です。予算も考慮しつつ、時には施工会社の提案にも耳を傾けながら、理想の内装に近付けていきましょう。
また、施工現場に足を運び、工事の状況に問題がないかをチェックすることも大切です。近隣住民とのトラブルを避けるためにも、現場周辺にゴミが散乱していないかなどを確認し、問題があればすぐに相談してください。
2-3. 完成後(引き渡し前)
住宅の引き渡し前には、完成した家の最終確認も兼ねて、以下のような点について打ち合わせを行います。
- 完成した家の状態
- 疑問点や懸念事項
- アフターメンテナンス
- 工事にかかった総費用
- 住宅ローンの手続き
住宅が図面通りに建築されているか、建具・設備に問題はないか、住宅や内装に傷・汚れがないかなどをチェックしましょう。問題がなければ住宅の引き渡し・引っ越しに進みます。
完成後の打ち合わせでOKを出した後は、基本的に修正を行うのが難しくなります。そのため、依頼内容と明らかに異なる点や問題を発見した場合はもちろん、小さな疑問や懸念事項であっても施工会社にしっかりと伝えてください。
加えて、いつまで・どのようなアフターメンテナンスが行われるか確認しましょう。保証期間について認識に齟齬がないか、何らかのトラブルが起きたときにはどこに連絡すればよいか、改めてチェックするのも大切です。
また、引き渡し後に金銭トラブルが起こらないよう、工事にかかった総費用やローンの手続きについても改めて確認してください。
3. 注文住宅の打ち合わせに関する注意点
理想的な注文住宅を建てられるかは打ち合わせにかかっています。しかし、打ち合わせを何度も重ねるにつれて確認すべき項目も増え、見落としが発生しやすくなるため注意が必要です。注文住宅の打ち合わせでは、以下の4つの注意点を押さえるとよいでしょう。
3-1. 具体的に希望・要望を伝える
注文住宅でこだわりたいポイントや譲れない条件、予算などは施工会社に具体的に伝えることが大切です。
例えば、「リビングは広いほうがいい」「おしゃれな内装にしたい」といった希望は抽象的で、施工会社との間にイメージの違いが生まれやすくなります。「吹き抜けのリビング」や「モノトーン調のモダンな内装」など、要望を可能な限り具体的に伝えれば、イメージの差異を減らし、理想の住まいに近付けることができるでしょう。
事前に希望する工事について情報を細かく共有していれば、最小限の変更だけで希望に応じたマイホームができる可能性が高まります。反対に、しっかりと要望や希望を具体化しない状態を放置すると、やり直しが必要になり工期や必要な金額が増えてしまう恐れがある点に注意してください。
希望・要望を具体的に伝えるためには、しっかりとした事前準備が大切です。住宅展示場を回ったり、カタログやホームページを見たりしながらイメージを固め、家族で意見を共有しておいてください。工事が始まってから変更する点が最小限になるよう、詳細な部分まで具体化するのが重要です。
3-2. 打ち合わせの内容は記録しておく
打ち合わせの内容は基本的に施工会社側が記録してくれますが、施主側でもメモ・録音などで記録を取っておくことが大切です。注文住宅は大きなお金が動き、長い時間がかかる取引なので、後で言った言わないのトラブルが起こると大きな問題に発展しかねません。
また、施主側が打ち合わせの内容を一度で理解したり、記憶したりするのは難しいことから、後で見返して理解を深めるためにも記録が大切になります。分からないまま聞き流しがちな専門用語などに気付けるよう、打ち合わせの内容はしっかりと記録しましょう。
なお、録音や撮影といった手段で記録を取る場合は、事前に施工会社側に許可を得るようにしてください。
3-3. 不安・疑問が生じた場合はすぐに確認する
施工会社からの説明を聞いたり、打ち合わせの記録を取ったりする中で、分からないことが生じるケースも多々あります。疑問や不安が生じた場合はすぐに質問し、都度解決しながら打ち合わせを進めましょう。
納得できないところを抱えたまま打ち合わせを進めると、後々後悔する結果にもなりかねません。また、「いずれ確認しよう」というスタンスでいると、確認した頃には修正が効かない段階まで進んでいたという事態に陥るケースもあります。内容によっては「後日確認します」と言われるときもありますが、その場合はいつまでに返答をもらえるかを明確にしておくと安心です。
3-4. 実物・サンプルを確認してから決める
注文住宅の内装や設備については、打ち合わせだけで決めずに必ず実物・サンプルを確認しましょう。壁紙や床材、外壁などは、小さなサンプルで見たときと、壁や床一面に使われているのを見たときとでは大きく印象が変わります。そのため、なるべく大きなサンプルで確認し、可能であればモデルハウスや展示場、または開催されている実例見学会などで実際の内装を確認するのがベターです。
住宅設備は使い勝手やサイズ感が重要で、言葉や写真で見聞きしただけでは分からないポイントも多くあります。「この設備は自分たちには不要かもしれない」といった気付きを得るきっかけにもなるため、住宅設備もなるべく実物を見て決めることが大切です。
まとめ
注文住宅の打ち合わせ回数は、こだわりや家の規模によっても異なります。事前にプランがある程度決まっている場合、短ければ1か月程度、4~5回で打ち合わせが終わるケースもあります。しかし、一般的には10~15回程度、3~6か月かけて打ち合わせる場合が多いでしょう。
注文住宅を打ち合わせるときには、住宅展示場を回ったり、カタログやホームページを見たりしながら実物を確認してイメージを固め、具体的に希望を伝えるのが大切です。できる限り具体的に情報を共有し、工事が始まってから変更する点が最小限になるようにすれば、工期が伸びたり予算以上に工事費が膨らむリスクを減らせます。
※記事内に指定している打ち合わせの回数には個人差があります。