住宅省エネ2024キャンペーンとは?補助金の交付申請期間や補助額について
国土交通省・環境省・経済産業省が連携して実施する住宅省エネ2024キャンペーンは、いくつかの支援事業によって構成されています。具体的には「子育てエコホーム支援事業」「先進的窓リノベ2024事業」「給湯省エネ2024事業」「賃貸集合給湯省エネ2024事業」の4つです。
条件を満たせば、リフォームや給湯器設置などにかかる費用の補助金を受け取れます。これから住宅の購入やリフォームを検討している場合は、確認しておきたいキャンペーンです。
当記事では、住宅省エネ2024キャンペーンの概要や補助対象・補助額のほか、補助金交付申請の開始時期・期間などを解説します。
目次
1.住宅省エネ2024キャンペーンとは?
住宅省エネ2024キャンペーンとは、一般住宅の省エネ化を支援する事業の総称です。国土交通省と環境省、経済産業省が連携して実施しています。交付要件を満たすと、住宅の断熱性を高めるリフォームや高効率給湯器の設置などにかかる代金の補助を受けられます。
キャンペーンを構成する事業は「子育てエコホーム支援事業」「先進的窓リノベ2024事業」「給湯省エネ2024事業」「賃貸集合給湯省エネ2024事業」の4つです。各事業の具体的な内容は次の通りです。
子育てエコホーム支援事業 |
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子育て世帯や若者夫婦世代などを対象に、高い省エネ性能を備えた住宅の新築や購入、リフォームの代金を補助する事業で、管轄は国土交通省です。エネルギー価格をはじめとする物価高騰の影響を受けやすい世帯に対し、省エネ投資を支援する狙いがあります。 住宅の新築や購入における補助は子育て世帯と若者夫婦世代が対象で、補助上限は1戸につき80万~100万円です。リフォームの補助は、子育て世帯や若者夫婦世代以外の世帯も対象で、補助上限額は工事内容や世帯の種類によって異なります。 |
先進的窓リノベ2024事業 |
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一般住宅の所有者などを対象に、既存窓や既存ドアから高断熱性の窓やドアへ改修する工事の代金などを補助する事業で、管轄は環境省です。一般住宅の断熱効果を高めることで、エネルギー価格の負担軽減やCO2排出削減に貢献する狙いがあります。 補助上限は、1戸につき5万~200万円です。住宅の建て方や設置する窓・ドアの性能とサイズ、設置方法といった条件によって補助上限は異なります。 |
給湯省エネ2024事業 |
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一般住宅を対象に高効率給湯器の購入や設置工事、リース利用などに必要な代金を補助する事業で、管轄は経済産業省資源エネルギー庁です。家庭のエネルギー消費において、大きな割合を占める給湯分野の省エネを推進する狙いがあります。 新築や既存の一戸建て、共同住宅などが設置対象となり、高効率給湯器1台あたりの補助上限は8万~18万円程度です。高効率給湯器の性能によっては、最高5万円台まで補助が加算されます。 |
賃貸集合給湯省エネ2024事業 |
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賃貸集合住宅を対象に小型省エネ型給湯器の購入や工事、リース利用に必要となる代金を補助する事業で、こちらも管轄は経済産業省資源エネルギー庁です。 1棟あたり賃貸住戸2戸以上(2023年12月15日以前の着工は1戸以上も可)を有する住宅が設置対象となります。補助上限は1住戸1台までで、給湯器の種類や性能によって5万~7万円を補助します。 |
補助の交付申請は、「住宅省エネ支援事業者」と呼ばれる登録事業者であり、リフォームや設置工事に携わる施工業者が代行します。一般消費者は、書類作成など交付申請に関わる手続きをする必要はありません。登録事業者はキャンペーンサイトで検索可能です。
2.住宅省エネ2024キャンペーンの補助対象は?
住宅省エネ2024キャンペーンにおいては、事業ごとに補助を受けられる人や工事内容などが細かく設定されています。以下では、各事業の補助対象について詳しく解説します。
2-1.子育てエコホーム支援事業の補助対象
子育てエコホーム支援事業の補助対象者は、長期優良住宅やZEH住宅といった高い省エネ性能を備えた注文住宅を新築する建築主や新築分譲住宅の購入者です。くわえて、持ち家の省エネ性能を高める目的で、リフォームを行う工事発注者も補助対象者に含まれます。
補助対象者となる住宅の建築主・購入者は、子育て世帯と若者夫婦世帯に限ります。子育て世帯とは原則として、2023年4月1日時点で18歳未満の子どもがいる世帯です。若者夫婦世帯とは原則として、2023年4月1日時点で夫婦のいずれかが39歳以下である世帯です。
リフォームの補助対象者には、子育て世帯と若者夫婦世帯以外の世帯も含まれます。補助対象工事は次の通りです。
必須工事 |
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任意工事 |
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補助を受けるには、必須工事のいずれかを行う必要があります。任意工事に対する補助は、必須工事と同時に行う場合に限って受けられます。
フラット35・S適合証明書付きの住宅も「ZEH住宅」と同じ水準があると見なされ、子育てエコホーム支援事業の補助対象となります。
アイダ設計ではフラット35・S適合証明書付きの住宅を多数取り扱っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
2-2.先進的窓リノベ2024事業の補助対象
先進的窓リノベ2024事業の補助対象者は、既存住宅の所有者や貸借人などで、かつ窓やドアを断熱改修する工事発注者です。補助対象となる既存住宅には戸建てと、二世帯住宅やマンション、店舗併用住宅などの集合住宅を含みます。
補助対象工事は、「ガラス交換」「内窓設置」「外窓交換」「ドア交換」です。ガラス交換とは、既存サッシを利用し、窓ガラスのみを複層ガラスなどに交換する工事です。内窓設置とは、既存内窓を交換したり、既存窓の内側に窓を新設したりする工事を指します。
外窓交換とドア交換の場合、はつり工法かカバー工法のいずれかを採用する工事が補助対象となります。はつり工法とは、既存の窓やドアを枠ごと取り外し、新しい枠を取り付けて交換する工法です。カバー工法とは、既存の枠を残して窓やドアを交換する工法です。
改修に用いる窓やドアは、先進的窓リノベ2024事業が課す性能要件を満たしている製品に限ります。また、先進的窓リノベ事業(令和4年度補正予算第2号)で補助金の交付を受けた事業は補助対象外です。
2-3.給湯省エネ2024事業の補助対象
給湯省エネ2024事業の補助対象者は、高効率給湯器を導入設置する住宅の所有者です。住宅は、戸建てや共同住宅、新築や既存住宅のいかんを問いません。高効率給湯器の購入や設置工事、リース利用が補助対象となります。
住宅の所有者である個人が高効率給湯器の購入やリース契約などを2024年4月16日以降に結んだ場合は、「J-クレジット制度」への参加表明が不可欠です。J-クレジット制度とは、省エネ設備の導入によるCO2の排出削減量を国が認証する制度です。
補助対象機器は、性能要件を満たしている製品です。具体的には「ヒートポンプ給湯器(エコキュート)」「電気ヒートポンプ・ガス瞬間式併用型給湯器(ハイブリッド給湯器)」「家庭用燃料電池(エネファーム)」です。
中古品やメーカーの保障対象外の機器、従前よりも省エネ機能が下がる機器などを導入設置する場合は補助対象になりません。補助対象機器が未使用の状態で設置されている中古住宅を購入する場合も補助対象外です。
2-4.賃貸集合給湯省エネ2024事業の補助対象
賃貸集合給湯省エネ2024事業の補助対象者は、賃貸集合住宅の持ち主や管理法人などです。補助対象工事は、既存賃貸集合住宅において従来型給湯器を省エネ型給湯器に交換するリフォーム工事が該当し、リース利用も補助対象に含まれます。
補助対象となる既存賃貸集合住宅とは、1棟あたり賃貸住戸が2戸以上ある建物で、建築から1年以上経過しているか、人が住居した実績がある建物です。ただし、2023年12月15日以前に1台目の設置工事に着工した場合、賃貸住戸が1戸以上でも補助対象に含まれます。
不動産登記において建物の用途が集合住宅でない場合や、事業用に貸し出す場合は補助対象外です。建物の持ち主や親族など、賃貸借契約を締結しない人が居住している場合も補助対象とはなりません。
補助対象となる機器は、エコジョーズやエコフィールといった小型の省エネ型給湯器です。給湯単能機や風呂給湯器といった機器の種類によって、モード熱効率や給湯部熱効率、連続給湯効率などの割合が定められています。
3.住宅省エネ2024キャンペーン参加補助事業ごとの補助額
住宅省エネ2024キャンペーンは、参加補助事業ごとに管轄する省庁が予算を組んでいます。単年度あるいは2年度にわたって組まれた4事業の予算は総額で4,615億円に上ります。各補助事業の予算額は次の通りです。
参加補助事業 | 予算 |
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子育てエコホーム支援事業 | 令和5年度補正予算:2,100億円(国土交通省) 令和6年度当初予算案:400億円(国土交通省) |
先進的窓リノベ2024事業 | 1,350億円(環境省) |
給湯省エネ2024事業 | 580億円(経済産業省) |
賃貸集合給湯省エネ2024事業 | 185億円(経済産業省) |
以下では、各補助事業の補助額(補助上限)について詳しく解説します。
3-1.子育てエコホーム支援事業の補助額(補助上限)
子育てエコホーム支援事業において、注文住宅の新築や新築分譲住宅の購入に対する補助額(補助上限)は、住宅の種類によって異なります。長期優良住宅は1戸につき100万円、ZEH住宅は1戸につき80万円です。
ただし、補助対象となる住宅が「市街化調整区域」かつ「土砂災害警戒区域または浸水想定区域」に立地している場合、補助額は半額程度となります。原則として、長期優良住宅は1戸につき50万円、ZEH住宅は1戸につき40万円です。
リフォームの補助額は、世帯の状況や工事内容によって定められています。補助上限の範囲であれば、補助対象となる必須工事と任意工事を組み合わせるなどして複数回申請することも可能です。ただし、1申請あたりの補助額合計が5万円以上となる必要があります。
子育て世帯・若者夫婦世帯に対する補助上限は、リフォームは1戸につき30万円、長期優良リフォームは1戸につき45万円と設定されています。売買契約額100万円以上の既存住宅を購入してリフォームを行う場合の補助上限は60万円です。
一方、子育て世帯・若者夫婦世帯以外の世帯に対する補助上限は、リフォームは1戸につき20万円、長期優良リフォームは1戸につき30万円です。子育て世帯・若者夫婦世帯以外の世帯には、法人や管理組合を含みます。
3-2.先進的窓リノベ2024事業の補助額(補助上限)
先進的窓リノベ2024事業の補助額(補助上限)は、住宅の建て方や設置する窓の性能と大きさ、設置方法などの要素によって大きく異なります。補助額の定額として、1戸につき5万円から最大で200万円までの区分があります。
先進的窓リノベ2024事業において補助額を決定する要素とは、窓やドアの性能を示す熱貫流率と、窓やドアのサイズです。熱貫流率は4段階、窓やドアのサイズは3~4段階にそれぞれ分かれており、両者の組み合わせで補助額が決まります。
ガラス交換の補助額は、ガラス1枚あたり5千円~5万5千円です。窓が複数のガラスで構成されている場合、交換したガラスの枚数に応じた補助額が交付されます。内窓設置の補助額は2万3千円~11万2千円です。
外窓交換の補助額は、はつり工法とカバー工法によって異なります。各工法においても、窓の熱貫流率と外窓のサイズによってさらに補助額が設定されています。補助額の範囲は、はつり工法は4万6千円~18万3千円、カバー工法は5万8千円~22万円です。
ドア交換の補助額も工法の違いにくわえ、ドアの熱貫流率とサイズによって異なります。はつり工法は4万6千円~18万3千円、カバー工法は5万8千円~22万円となっています。
3-3.給湯省エネ2024事業の補助額(補助上限)
給湯省エネ2024事業の補助額(補助上限)には、基本額と性能加算額、撤去加算額が含まれます。新しく設置する給湯器の性能や古い給湯器を撤去する要不要によって、基本額のみの補助となるケースもあります。
基本額とは、設置する高効率給湯器の種類に応じて設定されている補助額です。基本額の補助を受けられる設置台数は、住宅の種類によって決まっています。戸建ては2台まで、共同住宅などは1台までです。
性能加算額とは、設置する高効率給湯器や付属機器が、加算要件を満たしている場合に交付される補助額です。加算要件は、ネット接続可能で天気予報などに応じて給湯できる性能・少ないCO2を排出する性能・ネット接続可能で停電中も稼働できる性能の3要件です。
1台あたりの基本額は、ヒートポンプ給湯器が8万円、電池ポンプ・ガス瞬間式併用型給湯器は10万円、家庭用燃料電池は18万円となっています。性能加算額は、1要件につき2万円台~4万円台で、2要件の組み合わせで最高5万円台まで補助を受けられます。
撤去加算額とは、新しく高効率給湯器を設置するにあたり、古い給湯器の撤去工事を必要とする場合に交付される補助額です。電気蓄熱暖房機の撤去は1台につき10万円、電気温水器の撤去は1台につき5万円と設定されています。
3-4.賃貸集合給湯省エネ2024事業の補助額(補助上限)
賃貸集合給湯省エネ2024事業の補助額(補助上限)は、設置する省エネ型給湯器に追い炊き機能があるかどうかで異なります。追い炊き機能がない給湯器は5万円台、追い炊き機能がある給湯器は7万円台です。リフォーム工事とリース利用で補助額に違いはありません。
ただし、補助を受けるには、給湯器が性能要件を満たしている必要があります。エコジョーズの給湯単能機とふろ給湯器はモード熱効率が90%以上であること、給湯暖房機は給湯部熱効率が95%以上であることが、それぞれの性能要件です。
エコフィールの場合、油焚き温水ボイラーは連続給湯効率が95%以上の必要があります。直圧式の石油給湯器はモード熱効率91%以上、貯湯式の石油給湯器はモード熱効率80%以上がそれぞれの性能要件です。
共同住宅などで複数の省エネ型給湯器を導入設置した場合、賃貸集合給湯省エネ2024事業と子育てエコホーム支援事業を併用して、それぞれ補助を受けることが可能です。給湯器1つのみを導入設置した場合は、両事業から補助を受けることは認められません。
給湯器1つのみの導入設置に関しては、地方公共団体が実施し、国費が充当されていない補助制度であれば併用できます。
4.補助金交付申請の開始時期・期間
住宅省エネ2024キャンペーンの交付申請は、子育てエコホーム支援事業が2024年3月中下旬から、ほかの3事業は同年3月29日から受付開始しています。先進的窓リノベ2024事業と給湯省エネ2024事業における共同住宅等の一括申請は2024年5月中を目途に開始予定です。
参加補助事業 | 交付申請の受付開始 | 交付申請受付期間 |
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子育てエコホーム支援事業 | 2024年3月中下旬 | 2024年3月中下旬~予算上限に達するまで (遅くとも2024年12月31日まで) |
先進的窓リノベ2024事業 | 2024年3月29日 午前10時 | 2024年3月29日~予算上限に達するまで (遅くとも2024年12月31日まで) |
給湯省エネ2024事業 | ||
賃貸集合給湯省エネ2024事業 |
交付申請できるのは、2023年11月2日以降に着工した工事です。交付申請の締切は予算上限に応じて公表されます。いずれの事業も予算上限に達し次第終了するため、早めの交付申請をおすすめします。
まとめ
住宅省エネ2024キャンペーンは、住宅の購入やリフォーム、高性能の窓や給湯器の設置を検討している場合に活用できる補助制度です。事業ごとに補助対象や補助額が異なるものの、金銭面での負担が軽減できるだけでなく、住宅や窓ガラスなどの性能が上がることで光熱費節約にもつながるでしょう。
いずれのキャンペーンも2024年3月中下旬以降から交付申請の受付を開始しており、予算上限に達するまで申請することが可能です。早い段階で予算上限に達すると、その時点でキャンペーン申請受付が終了するため、早めの申請を心がけましょう。
建売住宅は物件によってこれらが対象となる場合がありますので、各ハウスメーカーにお問い合わせすることをおすすめします。