木造住宅のメリット・デメリットや特徴を解説!鉄筋造住宅との違いは?
マイホーム購入を検討している方の中には、木造住宅と鉄筋造住宅どちらにしようか迷っている方もいるのではないでしょうか。木造住宅は、鉄筋造よりもコストを抑えられる点や、加工しやすくデザインの自由度が高いといったメリットがあります。
一方で地震や火災、害虫などの被害に遭いやすいというデメリットもあり、人生の中で大きな買い物と言えるマイホーム購入では入念な比較検討が必要です。
当記事では、木造住宅と鉄筋造住宅を比べながら、それぞれの特徴やメリット・デメリットについて解説します。
目次
1.木造と鉄筋造の特徴を比較
木造と鉄筋造は、以下の通り、それぞれ特徴が異なります。
木造の特徴 | 鉄筋造の特徴 |
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それぞれの特徴について、もう少し具体的に確認しましょう。
建築工法 |
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木造の建築工法には、木造軸組工法とツーバイフォー工法があります。木造軸組工法は、柱と梁を用いて建築する工法です。日本の伝統的な建築法であり、間取りの自由度が高くなります。 ツーバイフォー工法は、壁パネルや床パネルなどをあらかじめ工場で生産し、6面体の箱を作るようにパネルを組み合わせる工法です。ツーバイフォー工法は、現場でパーツを組み立てる建築法で、工期を短縮できるメリットがあります。 鉄筋造は、鉄筋の型にコンクリートを流し込んだ構造で、鉄筋コンクリート造やRC造とも呼ばれています。デザイン性の高いオリジナリティのある住宅にしたいなら鉄筋造がおすすめです。 |
コスト |
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一般的に、木造は鉄筋造よりも建築費用が抑えられる点が特徴です。鉄筋造は、材料費や素材の加工にコストがかかり、建築費用がかさみます。なお、木造でも使用する材料や加工方法によって費用が大きく異なります。 |
耐用年数 |
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法律上の耐用年数は、木造が22年、鉄筋造が種類によって19年~47年です。法定耐用年数は税金の計算のために使われる指標であり、耐用年数をすぎるとすぐに住めなくなるわけではありません。木造でも、家づくりに適した木材を使用して防腐対策を行えば、寿命が伸びる可能性があります。 事実、国土交通省は、フラット35基準程度を満たしている木造住宅の期待寿命を50~60年、長期優良住宅であれば100年超と算出しています。適切なメンテナンスを行えば、木造住宅は非常に長寿命と言えるでしょう。 |
出典:国土交通省「期待耐用年数の導出及び内外装・設備の更新による価値向上について」
耐震性や防火性については、鉄筋造のほうが勝ると言われています。木造の場合でも、工法によっては耐震性や耐火性に優れた住宅になり、さらに適切な管理やメンテナンスを行うことで性能の維持向上が可能です。
2.木造住宅のメリット・デメリット
ここからは、木造住宅のメリット・デメリットを解説します。以下は、木造住宅のメリット・デメリットを箇条書きで並べました。
木造住宅のメリット | 木造住宅のデメリット |
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木造住宅は、日本の戸建てに広く利用されている伝統的な住宅建築工法です。木造住宅の特徴を理解し、またどのような点に気をつければ良いかを把握した上で参考にしてください。
2-1.木造住宅のメリット
木造住宅は、建築する際も生活していく中でも、さまざまなメリットを感じる住まいです。ここからは、木造住宅を建てるメリットについて、ほかの構造の住宅と比較しながら紹介します。
2-1-1.鉄筋造よりもコストを抑えられる
木造住宅は、鉄筋造や鉄骨造住宅と比べて建築費用を節約できます。木造のコストが低い理由は、木材は軽量で運搬費が安くすみ、鉄筋造や鉄骨造などに比べて使う素材の種類が少ないためです。コストを抑えて家づくりを進めたい場合、木造住宅はおすすめの方法です。
使用する木材の種類によって、コストは大きく異なります。予算オーバーにならないよう、希望やこだわりを事前に相談し、見積りを比較検討すると満足度の高い家づくりになります。
2-1-2.温もりのある家づくりができる
落ち着いた空間でリラックスして過ごしたいなら、木造住宅がおすすめです。木の香りには、心身を癒やす効果があると言われており、樹木特有の香りを総称して「フィトンチッド」と呼びます。
このフィトンチッドには、心身のリフレッシュや免疫機能を高める効果があります。 リラクゼーション効果が得られるのも、木造ならではのメリットです。
木の質感は見た目にも温かみがあり、癒やしや安心感を感じる人は多いでしょう。
2-1-3.断熱性や吸湿性が高い
以下は、建築に使用する素材ごとの熱伝導率を比較した表であり、数値が低いほど断熱性に優れています。
材料 | 熱伝導率(kcal/m・h・℃) |
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木材(スギ) | 0.08 |
木材(ヒノキ) | 0.11 |
木材(ブナ) | 0.14 |
合板 | 0.11 |
コンクリート | 0.860 |
ステンレス | 21.1 |
鋼 | 347 |
木材建築で用いるスギ・ヒノキ・ブナは、コンクリートや鋼と比較して熱を通しにくく、熱伝導率が低い素材です。つまり断熱性が高いと言えます。熱が逃げにくい木材は、室内を寒い時期は温かく、暑い時期は涼しく保ちます。
また、木材には周囲の湿度を調整してくれる性質があります。木造住宅は、1年のうちで温度や湿度が大きく変わる日本の気候に最適な方法です。
2-1-4.耐火性に優れている
木造住宅に用いられるスギ・ヒノキ・ブナといった木材の熱伝導率は低く、火がついても中心が燃えるまでに時間を要する素材です。建築用に加工された木材には厚みがあり、火災が起きた際も木の表面のみが燃え、家そのものが倒壊する恐れは低くなります。
一方で、鉄の熱伝導率は高く、火災が発生したときに起こるのは急激な温度上昇です。鉄筋造は、鉄筋の型にコンクリートを流し込んだ構造のため、火災による温度上昇によって家そのものが倒壊する恐れがあります。
2-1-5.加工しやすく間取りやデザインの自由度が高い
木造は、構造が法律の条件を満たせば、間取りやデザインを自分好みに変えられます。木造は鉄筋造よりもシンプルな構造のため、設計の自由度が高い点がメリットです。
木材は加工しやすい素材であり、家屋のリノベーションやリフォームが容易です。例えば、壁の撤去、部屋の増築、段差の解消といった工事がほかの工法よりスムーズに進み、費用も抑えられるケースが多くなります。木造は、住んだ後も生活スタイルに合わせて間取りを変えられるため、結果として長く暮らせる可能性が高い住宅です。
2-1-6.地震の揺れを小さく抑えてくれる
木材が持っている伸縮性・柔軟性は、地震の揺れを緩和して振動を小さくしてくれる役割があります。木材の性質であるしなやかさのおかげで、地震が起きても安全に住み続けられる家づくりが可能です。
なお、建築基準法によれば、建築物は木造や鉄筋造などの工法に関係なく、震度6以上の地震にも耐えうる構造にすることと定めています。木造建築であっても、正しい工法で建てれば耐震基準に従った安全性の高い建物になります。
2-2.木造住宅のデメリット
木造住宅を建築・購入する際は、良い点と悪い点を比較して、じっくりと検討するようにしましょう。木造住宅のメリットとデメリットの比較表を再掲します。
木造住宅のメリット | 木造住宅のデメリット |
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木造は、コストを抑えて住みやすい家をつくる建築方法です。木材は通気性が良く、部屋の温度・湿度を一定に保つ働きがあります。木造住宅は、木の温もりを感じる部屋で快適に過ごしたい人や、費用を抑えつつ間取りを自分好みにしたい人にとって最適な構造です。
木造住宅で問題となる耐震性・遮音性・害虫被害などは、定期的な点検やメンテナンスの実施で解決する場合があります。ハウスメーカーによっては、デメリットを補う対策を設計プランに取り入れた住宅を提供しているため、不安な部分は確認・検討しましょう。
3.鉄筋造住宅のメリット・デメリット
鉄筋造住宅は強度が高く長持ちする反面、初期費用がかさみ予算オーバーするといった、コスト面の問題が発生するケースがあります。以下では、鉄筋造住宅のメリット・デメリットを表でまとめました。
鉄筋造住宅のメリット | 鉄筋造住宅のデメリット |
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コスト面の問題は、同じ物件に長く住み続けるなら解決できる可能性があります。一般的に、鉄筋造は劣化しにくく、法律で定められた耐用年数も最長で47年です。鉄筋造住宅は長く住めるため、トータルコストを考えればほかの構造より高すぎることはありません。
鉄筋住宅のメリットの1つとして、デザイン面の意匠性があげられます。ほかの物件と被らない家にしたい場合や、住宅と店舗兼用で広い空間を必要とする場合は、オリジナリティの高い設計ができる鉄筋造住宅がおすすめです。
なお、鉄筋造は鉄やコンクリートといった材料の重量が大きく、土地によっては重さに耐えられず、地盤沈下や液状化現象の恐れがあります。地盤改良工事が必要なケースもあるため、鉄筋造住宅を希望するときは土地選びの段階から検討を重ねましょう。
まとめ
木造住宅には、ほかの建築工法と比べて耐震性が劣る点や、火災・害虫被害に遭いやすいといったデメリットがあります。しかし、それ以上に木材がもつしなやかさや熱伝導率の低さ、樹木が害虫から身を守るために発するフィトンチッドなど、デメリットを補うメリットがたくさんあるのも特徴です。
日本の戸建て住宅では、圧倒的に木造住宅がシェアを占めています。その割合は、実に60%以上です。木造住宅が多い理由としては、日本には昔から木材が豊富だったことはもちろん、日本特有の高温多湿な気候も関係しています。
通気性に優れ、年中快適に暮らせる木造住宅は、まさに日本に合った住宅です。木造住宅の建築・購入を検討している方は、ぜひアイダ設計にご相談ください。